<大魔神ファイト一釣!!>

 大魔神クロマグロ捕ったどー!

 マグロに執念を燃やす日刊スポーツ評論家の佐々木主浩さん(45)が静岡・伊東港の「妙法(みょうほう)丸」から出漁して、今年3度目のアタックを敢行した。2010年の初釣戦から4年目、時にはサメに翻弄(ほんろう)され!?

 これまで苦汁をのまされっぱなしだったが、トータル10度目のトライにして悲願の初ゲット、さらに2匹目を仕留める“ミラクル”が起きた。以下はその<バトル劇場>ルポだ。

 伊東南沖に着くころ、夜が明け、佐々木さんは「何か雰囲気が違うゾ」とほえた。南西風が吹きつけ、多少波立ってはいるが、潮温は27度台で色も明るい。バシャッ!

 離れた海上で魚がジャンプした。早速、アタック開始だ。

 右舷ミヨシ(船首)で佐々木さん、同トモ(船尾)で加藤雄二さん(58=日刊釣りペン・クラブ)がサオを出し、釣り場に入る前に釣った生きエサ用のサバを仕掛けにセットして投入。サバの泳ぎにまかせ、ラインが100メートル以上出たところで置きザオのままアタリを待つが、マグロはいつ、どこで食いつくか分からない。それまでは船の移動を繰り返しながら、ひたすら<待ちの釣り>になる。そこで、どちらかにヒットしたら大魔神がやりとりをする作戦を立てた。

 最初、潮流れが異常に速くサオは沈黙していたが、太田潔船長(70)は「この流れがたるんだときに食いつくかも」とポツリ。すると、「加藤さんにきそうな予感が」と佐々木さんもポツリ。果たせるかな、この“予言”が的中!?

 潮が緩みだした午前8時すぎ、ギャーッ!

 加藤さんのリールが鋭い音を発し、ラインが猛烈な勢いで飛びだしたからビックリ!

 

 佐々木さんがサオを受け取り、ここからが大変!

 サオは折れんばかりに引き込まれ、リールを巻いてもそれ以上にラインが出ていき…まるで綱引きのごとき力比べ。20分…40分と経過する中、脳裏に前回の記憶がよみがえった。ヒットしたマグロに巨大なサメが食いつき、バトルが延々と続いたシーンだ。サオを持つ腕がシビれ、たまらず加藤さんに“投手交代”をアピールしたが、太田船長から「その引きはマグロだ。最後までやんなきゃ」と叱咤(しった)激励を受け、バトル続行-。

 やっと手前まで寄せてきたが、下へ潜り込み、ズルズル…とラインが止まらない。それでも、懸命にこらえ、10分後、海面下にグルグルと回りながらキラリと光る魚体が…素早く太田船長がモリを打ち、加藤さんと2人がかりで取り込み、足元でバタバタ…と暴れる黒光りした巨大魚を見て、全員が武者震い!

 30キロのクロマグロで、佐々木さんと加藤さんも大興奮のハイタッチだ。

 それがサメないまま1時間後、再び加藤さんのサオにヒット。今度はラインが300メートル余り出ても止まらず、ブチッ!

 ハリス切れでバレた。続いて、佐々木さんにもきたが、ハリ掛かりせずフワ~…。太田船長によれば、どちらもマグロで「加藤さんのは70キロを超す大物だったろう」と分析する。

 実はこの日、佐々木さんの胸に“光る”ものがあった。釣りバリをイミテーションした銀製のネックレスだ。夏休みはハワイで過ごし、現地で見つけて購入。<幸福を釣り上げる>の意味があり、「幸福」を「マグロ」に置き換えての験担ぎとか。聞けば、前夜の食事でもカジキ料理を(マグロを釣るのに験が悪いからと)食べず、これまでのマグロ釣戦ではなかった野球帽をかぶるなど、“験担ぎ尽くし”で挑んだのだ。

 その効能か!?

 昼ごろ、加藤さんのリールがまたまたギャーッ!

 バトンタッチした佐々木さんが20分余りのバトルの末、20キロのクロマグロを仕留め、船内は興奮のるつぼ化状態-。昨年10月に11キロのキハダを釣ってはいるが、今回はアタリがすべてクロマグロらしい“マグロ尽くし”で、しかも2匹ゲットするミラクル。釣戦10度目にして、過去の鬱憤(うっぷん)を晴らす“倍返し”の結果に「マグロは制覇した。次は(別の大物で)第2ステージだ」と大満足の大魔神でした。【長瀬川忠信】

 ▼船

 日刊スポーツ新聞社指定「妙法丸」【電話】0557・37・4913。マグロは仕立て船限定の予約制で5人まで10万円。午前3時30分目安で船着き場に集合。HP<http://www4.i-younet.ne.jp/~myoho-m/>

 ▼交通

 電車はJR伊東駅からタクシー利用。マイカーの場合は、国道135号で伊東港「妙法丸」の船着き場へ。詳細は要確認。