政界地獄耳

「災」には政治劣化の意味も/政界地獄耳

★12日、日本漢字能力検定協会は「今年の漢字」を「災」に決めたことを発表した。今年は北海道、大阪、島根での地震のほか、西日本豪雨、大型台風到来、記録的猛暑など日本各地で起きた大規模な自然災害から公募で「災」がトップに。次点は「平」、3位「終」と平成最後の年という思いが国民の声だったといえる。

★では政治家の1字は何だったのか。自民党政調会長・岸田文雄は「改」を挙げた。「後半政調改革に取り組み、前半の国会は働き方改革も大きな議論になった。また来年は元号が変わる改元が予定されている」としたが、何よりも自身が自民党総裁選出馬を見送り、党内を大きく失望させたことを「悔い改める」の「改」ではなかろうか。官房長官・菅義偉は「成」を挙げ、「働き方改革や漁業法改正などさまざまな改革を成し遂げることができた」と自賛した。首相・安倍晋三は「起承転結の転だ」とし、平昌冬季五輪で五輪連覇を果たしたフィギュアスケート男子の羽生結弦選手や将棋の藤井聡太七段らの活躍を挙げ、「若い力が台頭した。新しい世代への転換を予感させる1年だった」と述べた。

★「起承転結」の「転」は来年からの大きな転換点であることも示した首相だが、一方で自民党総裁選挙3選を果たし、志道半ばであることを訴えたといえる。首相の頭の中には「改憲」や「続投」への通過点でもあるのではないか。今年の1文字から政治家の思惑が透けて見えるようだが、主要政治家の思いは自分のことが中心で、国民からの公募が天災に苦しめられた全国各地の思いというのもおかしなものだ。今の我が国を見据えているのは国民の方かもしれない。「災」のひとつが政治の劣化や低レベル化という意味も含まれていることを政治家は感じ取ってほしい。(K)※敬称略


政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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