政界地獄耳

脅しに近い甘利明のブラフ/政界地獄耳

★10日の自民党大会後、党選対委員長・甘利明は「野党が選挙のためだけに『野合』をするのであれば、勝つためにあらゆる手段を取る」と述べ、同日選実施の可能性を示唆した。「何があってもいいように備えてほしい」(昨年12月1日)、「参院選が近づき、非常に厳しい状況になった場合、突破する手だてとしてはある。可能性はかなり低いと思うが、ゼロではない」(1月15日)と年末から甘利は同様の発言を繰り返しており、衆参同日選挙の火種としてくすぶっている。

★本来、党幹事長ですら解散は首相の専権事項として軽々に発言したりはしないし、誤解を生むような発言でミスリードすること、また首相の先を行く発言は控えるものだが、金銭疑惑で閣僚を辞任し、国会から雲隠れした男は今では首相を超える発言で復権している。この発言について自民党内では誰も苦言を呈さない。きっと首相・安倍晋三と盟友が申し合わせて発言しているのだろうとしているからだろう。ただ、この野党への揺さぶりがひょうたんから駒になることがあるから首相以外が発言すべきものではないのだ。この件に関しては公明党代表・山口那津男が危険な火種になるとの認識で苦言を呈し甘利をけん制している。

★こういったブラフは観測気球というより脅しに近い。「日頃から油断するな」なら常在戦場で、選対委員長の役割だろうが、それ以外は余計な発言だ。野党にまとまりが生まれ、参院選に勝機が見えればダブル選あるぞというが、それは野党へのけん制にはならない。11日、立憲民主党代表・枝野幸男は「解散を打つならしっかりと受けて立つ決意だ。衆院選の候補者発掘も精力的に進める」と逆手に取った。焦点は4月21日の大阪と沖縄の補選の結果だろう。野党が勝てば同日選挙は消え、与党が勝てば同日選ありうるべしだろう。それまでの甘利発言はあまり意味がない。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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