政界地獄耳

2つの発言から4月攻防を見る/政界地獄耳

★政治にはタイミングがある。どうつかむか、自らの信じるところや自身に入ってくるさまざまな情報から「今だ」という瞬間に的確な発言をすることが政局を見極め、政局をリードするといえる。いつだれが何を言うかは、何を目的になぜ今かでもある。そんな視点から2つの発言を見ると統一地方選挙や参院選を含むこれからの4カ月の政治情勢とその攻防が見えてくる。

★1つは元伊藤忠商事会長で元中国大使・丹羽宇一郎が赤旗日曜版のインタビューに答えたもの。タイミングは新刊「仕事と心の流儀」(講談社新書)の刊行を機にしているものの、その中身は政権に辛辣(しんらつ)だ。「今給与所得者の5割以上は年収400万以下。それで一体どういう生活ができるか。子供を産んでちゃんと教育をして育てていけるのか」と問い、「子供を産もうにも今日より明日の生活がよくなる見通しがなければ産めない。今を生きるのに精いっぱいでなかなかほかのことを考えるゆとりがない」と語る。

★また「消費増税が議論されているが見直すべきは所得税や金融資産への課税。金持ちに手厚くするのではなく、弱い者、貧しい者に手厚くする税制に考え直すべき」「外交も失敗だらけ」と両断している。一方、もう1人は半年前、首相・安倍晋三と自民党総裁選を戦った元幹事長・石破茂だ。会合で「森友・加計学園問題は終わったのか」と問われ「『(首相が)認可してやれ』とか『特別に配慮してやれ』って言ったとはとても思えない。要はそんなこと頼まれてないけども『総理の奥様が関係した学校だから特別扱いしなきゃいけないかな』とか周りの人たちが思ったとすれば不公平じゃないのって話。決してなかったことにしようとか忘れちゃおうとか、そういうつもりはありません」と政権が既に解決済みのように扱う森友・加計疑惑は終わっていないとした。本来、政権に対してこのくらいのことは絶えずさまざまな立場の人間が発言していたが、この時代、はっきり言う2人には逆風もあるだろう。図らずも機を同じくした2人の発言が政局観というものだ。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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