政界地獄耳

中小企業経営者の平成とは/政界地獄耳

★「平成の経済的出来事で事業や業種に影響を与えたものとは」という問いに全国の中小企業経営者が答えた結果とは。大同生命が行った今年3月の約5000社に及ぶ中小企業経営者アンケートによると、消費税率引き上げ(平成9、26年)が49%で第1位に。次いで「リーマン・ショック」(平成20年)48%。「日経平均株価大暴落(バブル崩壊)」(平成3年)が38%。相次ぐ金融破綻(平成9年)個人情報保護法施行(平成17年)の順となった。

★平成の30年はわが国の大半を占める中小企業の経営者からすれば厳しい時代だったことが分かる。消費税という新たな税制との取り組み、バブル崩壊、銀行の破綻では貸し渋りなど中小企業の連鎖倒産も相次いだ。その一方、アベノミクス開始(平成25年)日銀マイナス金利導入(平成28年)が同率で続いており、国民の多くがアベノミクスの効果より、懐から持ち出される消費税について関心が高いことを示している。無論、景気がよくなり、収入が増えていればその負担が重くのしかかることがないと考えれば、アベノミクスの評価は低そうだ。

★アンケート結果はそのほとんどが経済的事案だが、興味深いのは10位に政権交代(平成21年)が入っていることだ。中小企業の経営者たちが10年前の政権交代を挙げた人の胸中にはどんなものがよぎったのか。アンケートのテーマは「事業や業種に影響を与えたもの」だけに政治や社会が変化することへの期待は絶えずあるということなのか、それともさまざまな実現しなかった政策への失望感なのか。政権交代という緊張感は政治の質を高める一方、政治の不安定さの象徴にもなりかねない。安倍政権の高い評価は政治の安定性だが、ダイナミックな政治への渇望もあるといえるのだろうか。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

おすすめ情報PR

社会ニュースランキング