政界地獄耳

「少しはまともな観測気球を」で一致/政界地獄耳

★自民党の衆院補選の2敗の衝撃が大きい。選挙戦の終盤には首相・安倍晋三に近い、党幹事長代行・萩生田光一の消費税延期発言に政界全体が翻弄(ほんろう)された。10月の消費税増税について「景気はちょっと落ちている。6月の日銀短観でこの先は危ないと見えてきたら、崖に向かってみんなを連れて行くわけにはいかない。違う展開はある」と述べ、消費税増税の先送りに含みを残した。「その場合は国民の信を問うことになる」と首相気取りの発言を展開したのだ。

★メディアは萩生田を側近と称するが、それは総裁特別補佐、官房副長官などを歴任しているからではない。落選中には加計学園疑惑で話題の千葉科学大学危機管理学部で客員教授になっており、首相や同大学理事長とじっこんの間柄を想起してのものだ。当選5回で入閣経験もない、だが安倍政権の間でしか入閣はかなわないと考えている党内同僚議員は意外と多く、自民党内によくある「今だけ偉い議員」の1人だ。

★それを裏打ちするように萩生田発言に対して副総理兼財務相・麻生太郎は19日の記者会見で「どういうつもりで言ったんだろうね、萩生田から初めて日銀短観という言葉を聞いた気がする」と皮肉ったが、党内にはこの日銀短観も間違いで「5月20日発表の1~3月GDP速報値ではないか。短観も速報値もどっちでもいいんだよ、そもそもどっちも知らないだろ、萩生田は。観測気球が上がれば役割をこなしたことになるのだろう」(ベテラン議員)との見方が強い。ただ、政策通でなく、知名度を含めて中途半端な萩生田の発言では観測気球になり切れずアドバルーンがしぼんだところが、首相の誤算だったということか。萩生田発言は結局、官房長官・菅義偉が打ち消し麻生が打ち消した。幹事長・二階俊博は22日の会見で「個人的見解で、相談や了解があったわけではない」と不快感を示した。少しはまともな観測気球を上げられないものか、が政界の一致した見方だ。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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