政界地獄耳

6割不正の統計 このまま葬られるのか/政界地獄耳

★16日、総務省統計委員会の点検検証部会は厚労省の毎月勤労統計の不正調査問題を受けた政府統計の追加の点検結果を発表した。特に重要度の高い「基幹統計」(56統計)を除く「一般統計」(232統計)のうち「最低賃金に関する実態調査」(厚労省)や「全国貨物純流動調査」(国交省)など16統計でプログラムミスなどによる数値の誤りがあった。「中小企業実態基本調査」(経産省)など11統計では調査対象を一部除外するなど154統計で不適切な対応があったと認定した。

★驚くべきは結果、政府の288統計の6割強の178に及ぶ統計に問題があったことになる。霞が関全体適当にやっているのか、調査をちゃんとやり切れる能力がないのか、点検検証部会は当然明らかにしないが、恒常的に不正、もしくは不適切対応が行われていたことは間違いなく、国民から見れば国難と思わざるを得ない。この部会の説明でも幾つかの不正があったものの統計として「重大な影響は生じない」と不問に付されているものもある。不正はあるけど結果が同じだから問題ないとされるものだ。ではなぜこんな国になっても国民は怒らないのか。

★国内にはびこるあきらめムードではないか。社会には上級国民といわれる特別扱いされている人たちが歴然といて、現に国会で偽証したりとぼけていても、偉くなったり天下り先で厚遇されたりしている。不正統計はけしからん、おかしいと叫んでもどうにもならないし、誰も取り合わない。不正をやるのも検査するのもジャッジするのも上級国民同士。戦いにならないとあきらめたくなる気持ちもわからないでもない。だが、国家の根幹に不正がはびこっている先進国家などなく、消費税問題で政府はリーマン・ショック級のことがなければと、1つの指標を提示する。ではこの不正統計は何級の出来事なのか。大したことない案件なのか、大したことにしたくない案件なのか。国民の無関心を利用してこのまま葬ろうとしているが、この問題を審議する予算委員会を開かないのは自民党だ。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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