政界地獄耳

緊急事態より県のプライドなのか/政界地獄耳

★一連の台風による被害の中で「命を守る行動」と政府やメディアが言う一方、緊急時にもお役所仕事ぶりを発揮する自治体行政とのずれが露呈している。16日付神奈川新聞には「台風19号の影響で断水被害があった山北町で、到着した陸上自衛隊の給水車が引き返し、県の給水車到着まで約6時間にわたり利用できない事態が生じていた」と報じている。

★山北町が陸自に災害派遣要請したのが12日。ここからは日刊ゲンダイが詳しい。「町は、約20キロ離れた駒門駐屯地(静岡県御殿場市)の陸上自衛隊に『翌日(13日)、給水車を要請するかもしれない』旨連絡していた。13日朝4時に自衛隊から『県知事から防衛相に自衛隊の派遣要請をする必要があります。町は県に依頼してほしい。自衛隊としては給水車3台を午前6時に出発させます』と連絡があった」。

★山北町の防災課は県に依頼。ところが県は自衛隊派遣要請は最後の手段とマニュアルを理屈に依頼を拒否。結果、自衛隊の給水車3台の貴重な水は捨てられて県が手配した給水車2台が13日午後に到着した。緊急時でも町は県のメンツとプライドを損ねてはいけないという時代錯誤の話だ。それでなくとも神奈川県は相模川流域の相模原市、平塚市、茅ケ崎市、厚木市、海老名市、座間市、寒川町、愛川町に住む人たちに命を守る行動を取るよう警戒を呼びかけていながら事前放流して水位レベルを下げ貯水機能を最大限発揮できるようにしておくべきだったが事前の水位調節はしておらず、13日午後、県は相模原市に対して自衛隊の派遣要請をしている。台東区のホームレス排除と同様、役所のマニュアルやしゃくし定規の決済では命は守れない。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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