政界地獄耳

札幌案の裏にあの人との関係…/政界地獄耳

★来夏の東京オリンピック(五輪)・陸上競技の一部、マラソンと競歩の札幌開催案が急浮上して大混乱に陥っている。北方領土を取り返すには戦争しかないと言い出した政治家がいたが、都知事・小池百合子は「涼しいところというなら北方領土でやったらどうか」と八つ当たり発言まで飛び出した。東京都は300億円かけて暑さ対策を準備してきた自負もあり悔しい気持ちかもしれないが、これはいただけない。事前に小池に説明に行った五輪組織委員会会長・森喜朗にまで「無責任なことを言っておられる」と突き放された。

★五輪の権威、スポンサーの関係など五輪が抱える巨大利権と産業構造を鑑みると、IOC(国際オリンピック委員会)関係者らが東京と札幌の距離など極東の島国まで行くのだからもう関係ないのかもしれない。ただ、森はIOCが懸念を示す以前からの暑さ問題に長年尽力してきた。唐突ともいえるサマータイム議論が持ち上がったが、これもマラソンの東京開催のための苦肉の策だった。その時は国民の理解も得られず立ち消えになったが、早朝の開催などで調整を図ってきたもののドーハの世界陸上で選手の4割が完走できなかった現実に「IOCはとにかく、健康、選手の生命、安全第一に考えないといけないと組織委員会としては受け止めるのが当然じゃないだろうか」と言わざるを得なくなった。

★その裏には元衆院議長で元自民党総裁・河野洋平との関係がある。河野は13年に退任するまで日本陸連会長。陸上界の大物だ。その河野は細川政権樹立で自民党が下野した時の自民党総裁。河野が幹事長に任命したのが若き森喜朗。その後森政権ができたときには河野を外相に、そして河野を衆院議長に推挙したのも森だった。国際陸連と日本陸連の調整も河野の決断があった。小池は蚊帳の外だったかもしれないが、長い歴史と人脈の中で流れができたといえる。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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