政界地獄耳

海上自衛官たちの気持ちになってみろ/政界地獄耳

★国会は参院本会議での首相・安倍晋三の答弁でひと山越えた感が自民党に広がっている。「逃げ切った」とか「説明は丁寧で十分なもの」といった幹部の説明からも安堵(あんど)感がうかがえる。だが「国会が閉じられれば国民は忘れてしまう」と思っているなら、いまだ首相自ら説明した800人余りが参加した前夜祭のホテルの5000円の領収書などが1枚も見つかっていない。首相はその説明をする必要があるだろう。年が明けてもなかったことにはなりにくい。

★国会を延長する考えのない与党だが、国会が閉じると同時に自衛隊を中東に派遣する閣議決定を行う。「理由は米国中心の現地ミッションが1月中旬には始まるから、それに間に合うように派遣しないといけないということらしい。それに今は防衛省ではなくNSC主導で進めているのでよく分からないところもある」(自民党防衛族の1人)。国会を閉じた後こそこそと出かけていく海上自衛官たちの気持ちにもなってみてはいかが。

★調査・研究の後に米軍と歩調を合わせるのならばこれまた閣議決定だけで海上警備行動に変えることは簡単だ。だが海上警備行動は日本の近海での活動しか想定していない。つまり海上保安庁の手に負えない時、自衛隊が警察行動を取るという意味だ。外国での警察行動を想定しておらず、そもそも可能なのかという議論すら自民党内にある。加えて警察官には共済があるが自衛官は任意保険しかない。戦闘になった場合の想定など法律にはない。閣議で命令を切り替えるだけなら容易だが、整備法がないまま彼らを行かせるのか。この件で公明党は反対をしながら阻止するほどでもない。「桜を見る会」同様、公明党がはっきりしないことも問題だ。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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