政界地獄耳

法だけでは解決しないネット誹謗中傷/政界地獄耳

★フジテレビの番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラー・木村花さんが急逝したが、原因の一端に番組での振る舞いへの誹謗(ひぼう)中傷をネットに書き込まれ続けていたことが明らかになった。番組は「恋愛リアリティショー」と銘打ち台本がないという。それでも「番組」だということを視聴者は理解しない。政界では早速先月25日、官房長官・菅義偉が「インターネットでの誹謗中傷の書き込みについては、ユーザー1人1人が他人を傷つけるような書き込みをしないよう、リテラシー向上のための啓発を行っていくことが重要だ」とした。

★そこからが早い。翌26日、総務相・高市早苗は衆議院総務委員会で「匿名の者が権利侵害情報を投稿した場合に、発信者の特定を容易にするための方策について検討を進める予定でございます」。同日、自民党は参院議員・三原じゅん子が座長になりインターネット上の誹謗中傷対策を検討するプロジェクトチーム(PT)が初会合を開いた。政権の対応はネットの誹謗中傷の法的厳罰化だ。だがその線引きは難しく、発信者の情報開示手続きを規定したプロバイダー責任制限法の法改正で解決するだろうか。

★NEWSポストセブンによれば誹謗中傷への批判を理解しない若者がいるという。記事では「『テラハのファンだった』という女子学生の1人は、『彼女が亡くなったのは個人的な問題なのに、なぜ番組がたたかれるんですか? 番組を作っている人と番組のファンが被害者』」と言う。ネットは少し前、フェイクニュースに揺れたことがある。それまでざっくり言えばネットはニュースでも話題でも「バズれば(話題になれば)良い」という時代がある。その時からネットを使っている若者にリアルやリテラシーについての正しい理解がないままさまざまな事象を受け止めているのではないか。ICTでテレワーク授業が進む今、ネットのリテラシーから教育しなければ法の厳罰化だけでは解決しない。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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