政界地獄耳

尖閣侵犯は習近平国家主席来日なしの印/政界地獄耳

★7日、自民党は政調審議会で中国による香港統制を強める「国家安全維持法」の施行を受け、習近平国家主席の国賓来日について「中止を要請せざるを得ない」と明記した決議を了承した。3日に外交部会長・中山泰秀らがまとめた原案では、習主席の国賓来日に関し、政府に「中止を要請する」としていたが、党幹事長・二階俊博ら親中派の猛烈な反発にあい、腰砕けのトーンダウンになった。

★それでも6日の外交部会と外交調査会の合同部会では中国に対して厳しい意見が多数出た。党内には香港国家安全維持法を批判する向きもあるが、一方で中国海警局の武装公船による尖閣周辺海域への侵入がこの2日で80日連続という異例さに加え、日本漁船に接近する動きまで見せたことに対しての不快感が根底にある。また習の国賓来日は官邸、ことに首相・安倍晋三のレガシーづくりの一環として外交の重要懸案と見られているものの、さすがに看過できないという空気が強い。

★ところが3日の段階で中国外務省の趙立堅副報道局長は、会見で「しばらくの間、中国は日本側と重要な議題について議論していない」と発言。加えて「香港に関する日本の誤った主張について、すでに日本側に厳正に申し入れている。反中パフォーマンスにいかなる意味もない」とした。習来日については春先に計画していたものの、コロナ禍で延期が日本政府から伝えられていた。今回、中国が本気で来日を計画しているのならば自民党も指摘しているように、尖閣への侵入が80日間続いたりはしない。つまり尖閣侵犯は、来日する気なしのシグナルだとみるべきだ。そう考えれば、自民党は習来日問題よりも、ストレートに香港国家安全維持法反対を強く訴えるべきだろう。お粗末なドタバタだ。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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