政界地獄耳

海外へ54兆円? ばらまきの効果とは/政界地獄耳

★「地球儀を俯瞰する外交」は安倍政権の自慢の柱だ。13年1月、第198回国会、第2次安倍内閣の発足に伴う施政方針演説でこの言葉を使って以来、政権の売り物の1つとなった。官邸ホームページによれば政権発足以来、今年の1月までの訪問回数81、訪問国・地域80、のべ訪問国・地域176と記されている。

★外務省所管の国際協力機構(JICA)への出資ODA、円借款とばらまきは多岐にわたるのだろうが、18年1月の参院本会議で社民党・福島瑞穂の代表質問で「総理が表明した(海外への支援)額を機械的に加算した場合、円借款や一部重複部分を含め54兆3621億円になるという回答が外務省からあった」と発言した。ではその中身は見合うものなのか。

★日ロ関係は「ロシアとは、国民同士、互いの信頼と友情を深め、領土問題を解決して、平和条約を締結する。戦後70年以上残されてきた、この課題について次の世代に先送りすることなく、必ずや終止符を打つ、との強い意志を、プーチン大統領と共有しました。首脳間の深い信頼関係の上に、1956年宣言を基礎として、交渉を加速してまいります」(官邸ホームページ)。ところが首相・安倍晋三と30回以上会談してきたロシアのプーチン大統領は1日、憲法改正の全国投票が行われ、賛成が77・92%で可決。36年まで大統領にとどまることが可能となるだけでなく「領土割譲の禁止」も決まり、北方領土解決は絶望的になった。同日、ロシア上院(連邦院)国際委員会のコンスタンチン・コサチェフ委員長は「ロシアは日本との平和条約締結の可能性を議論しているものの、クリール諸島の領土帰属に関しては検討すらされていない」と発言した。

★このプロセスを見ていれば中国がこの政権と正面から付き合う必要はなく、揺さぶるだけで十分と感じるのも理解できる。北方領土返還と習近平来日。2つの外交レガシーが消えた。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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