政界地獄耳

国民に暫定内閣などない/政界地獄耳

★メディアは既に官房長官・菅義偉が次期首相に内定したような騒ぎだが、自民党のご都合主義にもうんざりする。直近の各社の世論調査では森友問題の再調査、コロナ禍対策などのための早期の国会開会、首相の説明責任など政府は国民に丁寧に説明すべきとの声が強いが、首相・安倍晋三は自らの病と政治日程を連動させ、国会の召集を10月下旬まで遅らせた。結果、首相は病に倒れたわけだが、だからといって懸案事項を後回しにしてもいいというわけではない。

★しかし、この内閣の前にも後ろにも進めないコロナ対策は、官房長官と党幹事長・二階俊博が進める経済対策という名の「コロナ感染拡大企画」ともいえるGo To キャンペーンという旅行推進など愚策が続き、首相のアベノマスク、頓挫したものの党政調会長・岸田文雄が提案し、ほとんどの人がもらえない30万円支給キャンペーンなど、まともな政策ではない。その政策を支えてきた菅が政権にいちばん近い人物として継承するなら、第一人者は副総理兼財務相・麻生太郎でもいいのではないか。

★加えて、今後も前政権を継承するのは官房長官と閣議決定してはいかがか。つまり、国民は安倍政治を継承してほしいのではなく、コロナ禍や五輪開催問題、景気対策の安倍政権ではない処方箋を待っているのに、安倍政治以上のものは出せない政治を、自民党は選択しようとしている。そもそも空白をつくっていけないという自民党お好みの言葉も、首相が6月の人間ドックの予兆判明以来、「休んでください」としたものの、元首相・佐藤栄作の在任期間超えを、固唾(かたず)をのんで待ったために放り投げる形になったのではないか。政権維持の立場から見れば次期首相は安倍政権の暫定内閣かもしれないが、国民にとって暫定内閣などない。加えて霞が関の一致した声は、新首相には今までの側近気取りの官僚を駆逐して欲しいということだろう。派閥単位でまとまりそうというが、本当に各派閥は一糸乱れずにまとまるのだろうか。安倍政治の継承なら、もっと声高に憲法改正を一丁目一番地にすえるべきではないか。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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