政界地獄耳

リニアささやかれる暴走とは/政界地獄耳

★リニア中央新幹線静岡工区の未着工問題は思わぬ方向に進みそうだ。事態の打開策を巡らすJR東海や国交省鉄道局は静岡県の強硬姿勢に手を焼いていて、一部には国交省は管轄する1級河川、大井川の管理権限を静岡県に委託しているが県から取り上げる策がささやかれていた。10日の衆院予算委員会で立憲民主党幹事長代行・渡辺周の問いに国交相・赤羽一嘉は「ばかげたこと」と一蹴し、トンネル工事の前には「県とJR東海との協定を必ず結ぶ」と明言。大臣から静岡県寄りの発言が連発させた。

★それだけではない。JR東海労組によればコロナ禍の中、20年度第3四半期決算(連結)で、1114億円の赤字が計上された。同第2四半期(中間決算)の赤字額は1135億円で、単純に計算すると、昨年10~12月の3カ月間に21億円の黒字を計上したことになる。Go To トラベル効果か。

★今月24日の「経営が厳しいのはコロナではなくリニア!リニアをやめれば黒字」とのタイトルが躍るJR東海労組ニュースでは「会社が発表した『20年度重点施策と関連設備投資について』(昨年3月26日付)によると、リニアの投資額は3800億円で、単体の設備投資額6880億円の55%にも及ぶ。今後はリニアの投資額が増える半面、安全などへの投資が抑制される懸念がある。リニア建設費は年間の赤字総額の2倍もの金額。リニアへの投資を無しにすれば、つまりこの機会にリニア建設を撤回すれば、約1900億円の黒字になる」と指摘している。昨年来JR東海内部からリニア建設工事を社内的に疑問視する声があったものの、在来線や新幹線への安全などへの投資が抑制される懸念は内部からの指摘でないとわからない。何やら水資源の確保などの環境面だけでなく、鉄道会社としての方針が問われているとすれば、国交省鉄道局とJR東海の暴走ということになるのか。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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