政界地獄耳

【政界地獄耳】安倍発言 この程度じゃキングメーカーとしての迫力もない

★3日の憲法記念日に前首相・安倍晋三が首相辞任後初のテレビ出演し、近況や政局を語った。首相時代から憲法改正を訴える安倍にとって、この日の出演の意味は大きいだろうし、連休の中で政界にさまざまな波紋を投げかけ、影響力を行使するには格好のタイミングだったといえよう。まず、夏の東京オリンピック(五輪)・パラリンピックについて「菅義偉首相や東京都の小池百合子知事を含め、オールジャパンで対応すれば何とか開催できると思う」「日本だけではなく、世界が夢や希望が持てる、そういう大会にしていきたい」と開催への期待を語った。

★ところがこれが「精神論でコロナ禍は解決しない」など一斉に反発を浴びる。自身が誘致を決め、昨年1年の延期を決めた安倍にとって五輪開催は政治的レガシーだったが、国民や歴史は誘致した人ではなく、時の首相を記憶する。ことに今回の場合は先ごろ辞任した元首相・森喜朗の存在もあり、マリオのコスプレと世界に向け福島第1原発を「アンダーコントロール」と宣言したことが安倍の記憶だろう。そしてこの発言は今のコロナ禍が制御されていないことに関連付けられてしまう。

★そして自身の再登板と首相・菅義偉について「私が突然、病気のために辞任した後、急な話で十分な準備もできず大変だったと思うが着実にしっかりやっていただいている。難しいコロナ禍で本当に感謝している。一議員として全力で支えることが私の使命だ」「(総選挙で自民党が勝てば)国民が菅首相を選んでいるわけだから。その後(の総裁選で)それを代えるのか。私はおかしいと思う。(総裁選は)去年やったばかりだ。1年後にまた総裁を代えるのか。当然、菅氏が継続して首相の職を続けるべきだ」と評価し続投を支持した。これが本音なのかもわからないし、この程度の発言ではキングメーカーとしての迫力もない。これで党内の首相交代論が収まるのか。いささか心もとない。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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