政界地獄耳

【政界地獄耳】投票行動と一致する場合ばかりではない、世論調査は複雑だ

★憲法記念日前後にはメディア各社は憲法改正の是非について世論動向を探るために世論調査を実施する。今年の調査では新たな変化が見られたのか。読売新聞では「あなたは、今の日本の憲法のどのような点に関心を持っていますか」と問い、国民の関心が多岐にわたることを示した上で「改正」の是非を問うた。改正する方がよい56、改正しない方がよい40。設問の設定もなるほどと思わせるが、答える側が読売への回答をどれくらい意識して回答しているか興味深い。

★毎日新聞は憲法改正について「賛成」が48%と「反対」の31%を上回ったと伝える。朝日新聞はいまの憲法を変える必要があるかを聞くと「変える必要がある」45%、「変える必要はない」44%。NHKは「改正する必要があると思う」が33%、「改正する必要はないと思う」が20%。これが9条改正が必要か否かになると、各社とも慎重論が上回る。世論調査は複雑だ。実施するメディアによって回答が変わる場合もあれば、その時のメディアの主張や論調に引きずられる場合もある。対面調査と電話調査でも結果が変わる場合もある。何より不思議なのは内閣支持率や自民党の支持率は高いのに、支持率の低い野党が先の補選でも勝利するなど、世論調査の動向が投票行動と一致する場合ばかりではない。

★憲法問題の調査の仕方では、毎回同じ設問を維持することが大切だろう。聞き方が変われば微妙に回答が変わる場合もあるからだ。ただ、メディアは国民が憲法問題に関心があることを前提に設問しているが、憲法を読んだことがあるかとか、前文を読んだことがあるかなどの設問も本来は必要ではないかと思う。本当に現行憲法を知って回答しているのか、自信がある人ばかりではあるまい。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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