【政界地獄耳】米に「下駄の雪」日本だけ 韓国へ急ぐバイデン
★韓国大統領に保守派の尹錫悦(ユン・ソンニョル)が就任した。式典に中国は習近平国家主席の「特別代表」として側近の王岐山(おう・きざん)副主席を派遣した。米韓接近へのけん制だ。一方親米政権が生まれたとする米国は最大の敬意を払うため、就任直後の21日にバイデン大統領が訪韓し米韓首脳会談を行う。北朝鮮では同時期にミサイル実験の可能性もあることから緊張状態が続く。ホワイトハウスのサキ報道官は「バイデン大統領は地域の安全保障と韓半島非核化に関する(尹大統領との)対話を待ち望んでいる」と述べ、米国務省のプライス報道官も「韓国と米国の同盟が持続し、共に利益を追求して価値を守ることができると確信する」と褒め殺し。まさに韓国を巡る米中の綱引きだ。
★米国にとってはフィリピンで親中派の元上院議員フェルディナンド・マルコス政権が生まれたことはクワッド(日米豪印)やオーカス(米英豪)などによる対中包囲網が微妙な風向きになることを意味する。今後は選挙戦でうまく隠した父親であるマルコス元大統領の独裁政治とスキャンダルが蒸し返されるだろう。反中国派の急先鋒(せんぽう)であるオーストラリアのモリソン首相も南太平洋のソロモン諸島と中国が安全保障協定を電撃的に締結し足元がぐらついた。21日、まさに米韓首脳会談が行われるその日の総選挙(下院選)では野党・労働党の優勢が伝えられており、米国はモリソンも失えば下駄の雪のようについてくるのは日本だけになる。
★クワッドではインドも対ロシア関係で米国と一枚岩とは言えずクワッドは崩壊寸前だ。場合によっては韓国の参入も考えざるを得ないが、中国、北朝鮮と陸続きで隣接する韓国を取り込むのはいささか刺激が強すぎよう。日本以外は一筋縄ではいかない状況でアジア版NATO構築は極めて厳しい状況だ。バイデンが韓国に飛んでいく理由がわかる。(K)※敬称略
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政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)