政界地獄耳

【政界地獄耳】国葬参列問題 説明で政治家の器が見える

★国葬直前になって、今度は国葬参列問題が大きな話題になっている。例えば党執行部の参列を見送った立憲民主党では元首相・野田佳彦が「元首相が元首相の葬儀に出ないというのは、私の人生観から外れる。『長い間ご苦労さまでした』と花を手向けてお別れをしたい」と参列を表明。一方、同党の前身、民主党当時の元首相・鳩山由紀夫、菅直人は欠席するという。それぞれの考えで構わないと思うが党内は大騒ぎだ。

★自民党では20日、元行革相・村上誠一郎が元首相・安倍晋三について「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊した。国賊だ」とし「最初から反対だし、出るつもりもない」と欠席を表明した。同日、防衛相・浜田靖一は「まだ説明が足りていない。国民の理解が得られるように説明を尽くしていく」としたが、首相・岸田文雄が国葬を表明してから約2カ月、世論調査での国葬の賛否は日を追うごとに反対が増え続け、既に半数以上が反対という調査が並ぶ。「説明をし続けた結果、国民の反対が増えた」のが実態だ。

★14日の会見で山形県知事・吉村美栄子は国葬に公務として出席する意向を明らかにした。「さまざまな意見があることは承知しているが、知事の公務として国の公式行事に参列するのは自然なことだと考える」とともに、公金を使っての出席については「公式行事なので、県民の皆さんには理解いただければと思う」とした。知事としての配慮に満ちた発言とも聞こえるが、国葬を国の公式行事だから参列するという理屈は引っ掛かる。地方自治を担う知事としては国や政府の意向に準じることの重要性が“自然なこと”かもしれないが、それをわざわざ会見で口に出せば別の意味合いが生まれる。結局、それぞれの政治家たちが国葬というテーマを突きつけられた時の説明で政治家の器が見えるという別の効果を国民は見たことになる。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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