政界地獄耳

【政界地獄耳】また唐突に発表 岸田文雄のやってる感

★首相・岸田文雄は国連総会で訪問していた米ニューヨークで22日会見し、来月11日から観光やイベントの支援策として「全国旅行割」と「イベント割」を開始することを表明した。「全国旅行割」は、旅行代金に1人1泊につき最大1万1000円の補助が付く。「イベント割」は、スポーツ観戦や音楽ライブ、演劇などのチケット代の割引がある。首相は「多くの方にご活用いただくことで、コロナ禍で苦しんできた宿泊業、旅行業、エンタメ業などを支援していきたい」とした。また来月11日から新型コロナウイルスの水際対策を緩和し、個人旅行も認めるほか、短期滞在のビザを免除し、1日あたりの入国者数の上限の撤廃も発表した。これは事実上のコロナ終結宣言だ。

★首相は支持率が下がると会見で新しいことを打ち上げる。ニューヨーク証券取引所でのスピーチでは「年功的な職能給の仕組みを、ジョブ型の職務給中心のシステムに見直す」と言い出した。思えば参院選挙直後の7月14日の会見では「できる限り多くの原発の稼働を進め、日本全体の電力消費量の約1割に相当する分を確保する」と、今冬の電力需給のひっぱくに対応するため、再稼働させる原発5基を含めて最大で9基を稼働させると表明した。参院選の公約の1つにも入っていないが唐突に発表された。つまり何か新しいことを打ち出すことで、やっている感を出している気持ちになるのだろう。

★首相は1年前の自民党総裁選挙で「声をかたちに。信頼ある政治」を掲げ、コロナ対策「医療難民ゼロ」、経済「新しい日本型資本主義」、外交・安全保障「毅然(きぜん)とした対応が不可欠」、社会保障・子育て支援「厚生年金の適用範囲を拡大」といろいろ掲げたが、少しでも前進しただろうか。約束したことに着手せず新しいことに飛びつくが1年の結果か。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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