政界地獄耳

【政界地獄耳】このままでは隣国中国は遠い国

★29日、日中国交正常化から50年を迎えたが、首相・岸田文雄はさまざまな記念レセプションへの出席を見送った。「現時点で決まっていることはない」という官房長官・松野博一が言うように日中首脳会談のめどは立っておらず、両国首脳の対面での会談は元首相・安倍晋三の19年12月の訪中以来3年近く実現していない。

★元衆院議長・河野洋平は29日の毎日新聞で「1972年の正常化の時は日中双方の人的往来は約1万人だ。それがコロナ禍になる前の19年には1200万人になった。それほど両国の関係は緊密になっている。にもかかわらず現在の両国関係が厳しいのは政治の責任だ」と指摘した。加えて「なにができるかと言えば、やはり対話をする以外にない」とした。元首相・福田康夫は時事通信で「日中首脳会談を早期に開催するべきだ」とともに対話を絶やすなと進言している。日中関係の50年は紆余(うよ)曲折ある。ただ大きくみれば中国は日本の投資や技術を生かし、急速な経済成長を遂げたものの「政冷経熱」と言われ続け、経済の蜜月に比べ政治の成熟はおぼつかない。

★10年には国内総生産(GDP)で日本を逆転した中国は名実ともに世界の超大国に躍り出た。その間、覇権主義や人権軽視が指摘される中国は簡単に世界の声を受け付けない。それどころか今度はその経済力を使い、資源外交、インフラ整備投資で途上国をがんじがらめにする経済圏構想「一帯一路」を推進。経済関係以外は日中関係は停滞したままだ。この50年間は、日中の人間関係で維持していたものが多い。ところが中国は井戸を掘った人を忘れないと大切にしてきたものの、井戸を掘った人以外が入る隙がなくなった。新しい発想、新しい関係を生み出さない限り、隣国は遠い国になってしまう。新しい井戸は何か。今後の50年は作り出さなければ。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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