政界地獄耳

【政界地獄耳】理屈が通らない中国に何が言える?

★今年3月に開かれた中国全国人民代表大会(全人代)で公表した22年予算案は、国防費が前年比7・1%増の1兆4500億元(22兆5000億円)となった。GDP比で1・75%。日本政府が23年度から5年間の「中期防衛力整備計画」で防衛費の総額を約43兆円へと大幅に増額することについて中国外務省は6日、「日本の防衛予算は10年連続で増加している」「地域の緊張をあおり非常に危険だ」「平和の道を堅持できるか強い疑問を持たざるを得ない」「軍事領域で言動を慎むべきだ」と批判した。

★多くの国民が「どの口が言う」と中国の軍拡を棚に上げてと思うはずだ。11月14日、中国・習近平主席は米バイデン大統領との3時間弱の米中首脳会談の冒頭、「現在、中米関係は両国や両国人民の根本的利益や国際社会の期待に合致していない。われわれは2つの大国のリーダーとして、正しい発展の方向を見つけ出さなければならない」と米国と対等な関係を印象付けようとした。つい最近まで、自らを途上国と卑下していたことが懐かしい。それでも台湾問題になると「再統一を望んでいるが、そのために武力を使わないで済むことを望んでいる」とニュアンスが変わる。

★また同月17日に行われた首相・岸田文雄との日中首脳会談では「歴史や台湾など重大な問題は両国の政治的な基礎に関わるものであり、約束を守り適切に処理しなければならない。いかなる者もいかなる理由であっても中国の内政に干渉することは許さない」と強い口調でけん制した。上品な日本の外務省や岸田がどの程度反論したか分からないが、軍拡競争を仕掛けながら「地域の緊張を生んでいるとし、内政干渉は許さん、約束を守れ」の理屈は大国の発言としては通用しまい。日本は経済的関係もあり我慢せざるを得ない部分もあるが、ならば「台湾海峡の波が高まった時に、日本の海域や先島諸島を巻き込むことは許さない」ぐらいは言って欲しかった。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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