政界地獄耳

【政界地獄耳】解散“怪文書”に新聞は食いつきすぎ 来年の総裁選再選を意識したアドバルーン

★29日午前、衆議院の内閣委員会で首相・岸田文雄は野党から「衆議院の解散を考えていますか、いませんか。イエスかノーかで明確にお答えください」と問われ「イエスかノーかということですが、今、衆議院の解散は考えておりません」と答弁した。予算が成立した28日には公明党控室にあいさつに行った首相に公明党代表・山口那津男が「いよいよ統一選ですからね」というと首相は「統一選挙。はい、そうですね」。山口が「解散じゃありませんね」というと首相は「いや…統一地方選挙です」と山口が念を押す微妙なやりとりが話題になった。

★これには伏線がある。自民党幹事長代行・梶山弘志が「衆院は常在戦場という言葉の通り、いつ解散があってもいいような備えをしていかなくてはならない」。また幹事長・茂木敏充も「解散については、まさに専権事項だと考えております。総理がそういった判断をされると。いつ、そういう判断があってもいいように準備を進める、それが幹事長の役割だと思っています」と発言、早期解散説に拍車をかけた。解散説を記者が与党幹部に問うのは政界を駆け巡った“怪文書”の存在だ。怪文書といっても現代はメールの怪文書で、今月31日にも解散があるかのような政治日程が記されているメールが政界全体を浮足立たせた。29日の朝刊も「支持率好転 探る解散時期」(朝日)、「早期解散論に警戒 与野党選挙準備加速」(毎日)、「早期解散論 野党は警戒」(読売)、「後半国会 解散を意識」(産経)、「与野党で早期解散の憶測」(日経)。

★政治記者の解散報道至上主義にもあきれるが、政権の情報戦はしたたかだ。「解散」に引きずられるが、この時期に政権が解散をほのめかすのは野党分断より来年の総裁選の再選を意識したアドバルーンに他ならない。再選の空気を醸造できるかの巧妙な観測気球でこれだけ騒いでくれるのなら、情報戦のハンドリングはできたとみるべきだろう。新聞の政治面は食いつきすぎだ。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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