被災千葉の森田知事「県民は限界」東電担当者と会談

台風15号による千葉県内の停電復旧作業のため全国から派遣された電力各社の中継基地となっている木更津市内のショッピングモールの駐車場(撮影・小沢裕)

関東を中心に大きな被害をもたらした台風15号の通過から初の週末を迎えた14日、大規模停電が続く千葉県の被災地にボランティアが続々と入った。県内は同日夕方時点で、約14万戸が停電。影響は長期化しており、千葉県の森田健作知事(69)は送配電会社「東京電力パワーグリッド」に対し、「県民はもう限界だ」と早期復旧を求めた。

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家屋の被害が激しかった房総半島南部では、ボランティアが壊れた屋根をブルーシートで覆う作業などで住民らと汗を流した。

14日にボランティアセンターを開設した千葉県鴨川市は午前9時半から、担当者が集まった約100人に作業内容を説明。高所作業が可能かなどを確認した。東京都葛飾区から来た大工の吉本尽さん(49)は「被害の大きさに驚いた。屋根のブルーシート張りを手伝いたい」と話した。鴨川市内では約4割が停電したまま。山間部は断水も続く。

県などによると、ボランティア受け付けを始めたのは南房総市や八街市。当面は対象を地元や近隣に住む人に限る自治体が多い。八街市では、倒木やがれきの片付けなどのボランティアを募集。現在は市内在住者に限るが、ニーズが増えれば市外からの受け入れも検討しているという。

大規模停電が続き、東京電力は1万6000人態勢で復旧を急ぐが、全域が解消するには2週間程度かかる見通しを示している。

千葉県の森田知事と東京電力パワーグリッドの金子禎則社長が県庁で会談。両者が会うのは停電後初めて。金子社長は「大変なご不便をお掛けし誠に申し訳ない」と謝罪。森田知事は「県民はもう限界だ。一刻も早く回復しなければならない」と求めた。

東電によると、南房総市や館山市は広範囲で設備に深刻な被害があり、「2週間以内でおおむね復旧」とした。東金市や君津市は1週間以内、千葉市や市原市は3日以内としている。

今回、3月から国内販売が始まった乳児用液体ミルクの備蓄が役立ったケースもある。水が不要で常温保存できるため、非常時に役立つとされ、16年熊本地震をきっかけに注目された。9日から停電が続く山武市は、今年3月から非常用に約450本をストック。市によると、ほぼ全域が断水した9日は備蓄のほとんどがなくなった。すぐに約450本を購入し、再び備蓄している。担当者は「災害時には必要。備蓄しておいて良かった」と話した。