時代劇ばり菓子折底に金貨…関電役員3億超金品受領

関西電力の役員ら20人が福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から金品を受領していた問題で、関電は2日の会見で、受領総額が3億1845万円相当だと明らかにした。

現金やスーツ仕立て券、金貨、小判形の金もあり、原発担当幹部2人の受領額は、ともに1億円を超えた。森山氏の激高が怖くて返金できなかったと説明したが、「原発マネー」還流の疑いはぬぐえない。八木誠会長、岩根茂樹社長はともに辞任を否定。幹部たちの浮世離れした金銭感覚も露呈した。

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先月27日、受領金品の具体的説明を拒んで批判され、再設定された会見。関電幹部が森山氏から受けた金品の生々しさ、時代劇の「越後屋」を思わせる手法が、白日の下にさらされた。 金品は現金1億4501万円、商品券や金貨、米ドル、スーツ仕立券、金杯、金の延べ棒や小判形の金。氏名公表は12人だった。最多額は鈴木聡常務執行役員で1億2367万円、次が豊松秀己元副社長の1億1057万円。2人は原子力事業本部幹部で、小判3枚はこの2人が受け取った。八木氏は、森山氏からの受領が東日本大震災後に加速したとの認識を示した。 今回の問題は18年1月、金沢国税局が原発関連工事を多く受注する高浜町の建設会社「吉田開発」の税務調査で、会社から森山氏に約3億円が流れ、関電側への金品提供が確認されて発覚。作成から1年以上、ようやく公表された報告書には、森山氏は国会議員にも人脈が広く、意に沿わないことがあると「発電所を運営できなくする」「家にダンプで突っ込ませる」とどう喝したと記載。岩根氏は「他の事例なら警察に通報するが、森山氏の影におびえた」と述べた。どう喝を恐れて見合わせた返却は、森山氏への税務調査に合わせて始めたが、現金やスーツ61着分など計3487万円分は未返却のままだ。 社長就任の際に贈られた菓子折の底に、金貨を確認した岩根社長は、秘書に金庫への保管を指示。八木氏は、50万円相当のスーツ仕立券を当初「儀礼の範囲内」と認識。「相当分を返却したい」と語った。 金品の元は、関電が吉田開発に払った原発関連工事費の可能性が指摘され、「原発マネー」の一部還流の疑いがある。その原資は電気料金だが、2人は「金銭の出所が分からず、(還流か)分からない」(八木氏)と言葉を濁し、原因究明と再発防止に取り組むとして、辞任も否定した。関電は今後、第三者委員会でも調査するが、故人の特異な行状ばかり強調されたのが実情だ。「返金して終わり」は、通用しない。