虹の「即位の礼」令和皇室の決意に込めた幸せと平和

天皇陛下が内外に即位を宣言する「即位礼正殿の儀」が22日、皇居・宮殿で行われた。陛下は、上皇さまの歩みに触れつつ「国民に寄り添いながら」象徴としてのつとめを果たすと誓われた。

皇居周辺は朝から激しい雨だったが、式典直前には上がり、都内の空には虹もかかった。天も祝福する流れに、インターネット上には「天皇晴れ」「エンペラーウェザー」の言葉が飛び交った。同日夜には祝宴「饗宴(きょうえん)の儀」が開かれ、日本が誇る和食を中心に供された。

   ◇   ◇   ◇

「国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国および日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓います」。玉座「高御座(たかみくら)」に立たれた陛下は、よどみない声で宣言した。上皇さまの歩みに触れ、平和への思いにも言及。「国民に寄り添いながら」など新しい表現をまじえ、「令和皇室」の決意を語った。

皇居・宮殿で最も格式が高い「松の間」で午後1時に始まった正殿の儀には、国内外から1999人が参列。張り詰めた空気の中、装束姿の侍従が「高御座」の帳(とばり)をゆっくり開くと、古式装束「黄櫨染袍(こうろぜんのほう)」姿の陛下が現れた。正面をまっすぐ見据えていた。

皇后さまは鮮やかな十二単(ひとえ)。隣の「御帳台(みちょうだい)」に立ち、陛下のお言葉をやや緊張した表情で聞いていた。

お言葉の後、安倍晋三首相が祝辞の「寿詞(よごと)」を述べて万歳三唱。21発の礼砲がとどろき、儀式は約30分で終了した。

この日の東京は未明から激しい雨風。中庭に立てられた旛(ばん=のぼり旗)が倒れる場面もあり、宮内庁は、「雨儀(うぎ)」での実施を決めた。しかし気象庁によると、儀式が始まった午後1時ごろから45分間、皇居がある千代田区では雨があがったという。雲間から青空がのぞき、虹が見える時間帯もあった。

天皇家の行事は、晴天が多いことで知られる。93年6月9日の両陛下の「結婚の儀」でも、パレード開始の45分前に前夜からの雨が上がった。パレード時は薄日が差し、沿道には約19万人が詰めかけた。

「令和」の考案者とされる中西進氏は、式後の取材に「陛下がお話になる時、かーっと日が照ってきた」と証言。首相もSNSに「朝から降り続いた雨が一転、澄明な陽光が差し込む中」とつづった。天気の好転を受けて、インターネット上では「天皇晴れ」「エンペラーウェザー」などのワードが並んだ。

新憲法下で初めて催された平成時の正殿の儀は、戦前の様式にならったことから、憲法が定める国民主権や政教分離の原則に反するとの批判もあったが、政府は今回も前回の様式を踏襲した。