「桜」前夜祭ホテル「明細7年保存」首相主張と矛盾

安倍晋三首相(2018年9月20日撮影)

「桜を見る会」の問題で、安倍晋三首相サイドが会の前夜祭を開いていた都内ホテルが、一般論として会合の明細書を7年間保存すると説明していることが10日、分かった。視察した野党追及本部の質問に答えた。会の明細書はないと主張してきた首相の主張とは食い違う内容だ。野党側は、疑惑が晴れないままの「桜」問題について、臨時国会が閉会しても「越年追及」する構えで、逃げる首相を追い込めるか、野党の力も試されている。

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「桜を見る会」野党追及本部は10日午後、恒例となっていた首相後援会による支援者を招いた「前夜祭」の会場、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで、担当者から説明を受けた。視察後、取材に応じた今井雅人衆院議員によると、ホテル側は一般論として会の明細書は7年間保存し、主催者の要請があれば再発行が可能と説明したという。

関係者によると、企業が同ホテルで会合を開く際、<1>見積書<2>明細書<3>請求書が生じるのが一般的というが、首相はこれまで、前夜祭の費用の総額を記した明細書は存在しないと主張。ホテル側の説明とはズレがある。前夜祭の会費は5000円と安価で、首相サイドや後援会の補填(ほてん)があったのではないかとの疑念は消えていない。

首相は会の主催は自身の後援会と述べており、今井氏は「首相は説明責任を果たすと(国会で)言っている。明細を説明してもらう必要がある」と指摘した。

「桜国会」に嫌気がさした首相への忖度(そんたく)か、自民党は9日で臨時国会を閉じ「桜はもう散った」と幕引きを急いだ。しかし、首相の説明に納得していない国民も多い。野党側はホテル視察以外にもこの日、衆院内閣委員会の野党議員が、会の招待者推薦に関する質問書を、内閣府の大塚幸寛官房長に提出。「ジャパンライフ」山口隆祥元会長が首相枠で15年の会に招待された疑いがある問題に関するもので、1週間後の回答を求めた。

追及本部メンバーは、都内で街頭演説も開催。桜問題がブレークするきっかけの質問を行った共産党の田村智子参院議員がチラシを配る中、同党の小池晃書記局長は「将棋でいえば、すでに詰んでいる。『北斗の拳』でいえば『お前はすでに死んでいる』」と、首相が追い込まれていることを強調。「このままノーサイドにはできない」と主張。立憲民主党の福山哲郎幹事長は「来年の通常国会へ徹底的に準備したい」と、越年追及をアピールした。