菅首相が初のG7で五輪支持要請 2億ドル拠出も

G7首脳、対コロナで連携 菅氏、バイデン氏ら初参加

菅義偉首相は19日夜、先進7カ国(G7)首脳のテレビ電話会議に出席した。人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして、今夏の東京五輪・パラリンピックを開催する決意を表明。国際オリンピック委員会(IOC)とも協力して「安全・安心な大会」を実現する考えを示し、G7首脳の支持を取り付けたい考えだ。発展途上国にも新型コロナワクチンの供給を目指す支援枠組み「COVAX(コバックス)」への計2億ドル(約211億円)の拠出を表明する見通しだ。

首相がG7首脳会合に参加するのは昨年9月の就任後初めて。新型コロナワクチンの公平な普及や、コロナ禍からの「より良い回復」について言及し、G7が結束してポストコロナの国際秩序の構築を主導する意義を訴える。

外国船舶への武器使用を認めた中国海警法の施行や、沖縄県・尖閣諸島周辺で中国海警局船が繰り返す領海侵入を念頭に、自由や民主主義、法の支配、人権といった基本的価値を共有するG7の枠組みの重要性を強調する狙いもある。

2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ実現を目指す菅内閣の方針を巡り、環境対策は経済の制約ではなく、むしろ社会経済構造を変革し力強い成長を生み出すとして、日本の積極的な姿勢を打ち出す方針だ。

機能不全に陥っている紛争解決制度の改善など世界貿易機関(WTO)改革を通じた自由貿易体制の推進も強調。新型コロナの世界的流行で首脳同士の対面外交が停滞する中、首相には2国間の電話会談や多国間のテレビ電話会議を通じて、発信と対話の機会を確保したい意向がある。(共同)