今年1月22日に86歳で亡くなった「ひふみん」こと、加藤一二三・九段のお別れ会が6月6日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われる。日本将棋連盟が21日、発表した。当日、「名誉十段」が追贈される。この称号を得る棋士は、故塚田正夫名誉十段以来48年ぶり2人目となる。
十段は現在の竜王の前身。加藤九段にとって、十段は1969年(昭44)に獲得した初タイトルだ。通算で8期獲得(内訳は名人・王位・王将各1、十段3、棋王2)したうち、最多となる。「将棋界の発展と普及に卓越した功績を残され、常に高みを目指す矜持を示されました。生前、加藤九段ご本人が十段への強い思いを抱いておられたことに深く敬意を表し、その志を顕彰するための特例」と日本将棋連盟では説明する。
将棋界で定められている最高段位は九段。藤井聡太6冠(竜王・名人・王位・棋聖・棋王・王将=23)、伊藤匠叡王・王座(23)らの段位も九段だ。
50年に始まったタイトル戦の九段戦を発展的に解消した十段戦は、62年から87年まで26期にわたり開催された。九段戦時を含めて通算10期以上を獲得した故大山康晴15世名人(九段6期、十段8期保持)、中原誠16世名人(引退=十段11期)が「永世十段」の称号を得ている。
また、12年には初代大橋宗桂が江戸時代、名人に任ぜられて400年を迎えた記念に、任じた徳川家康が「十段」に推戴された。そんな特別の”段位”で、加藤九段の生前の偉業がたたえられる。
将棋界初の中学生棋士で、藤井聡太6冠が2016年(平28)10月に14歳2カ月でプロデビューするまで、現役最年少14歳7カ月でのデビューの記録を保持していた。通算1324勝1180敗。対局数と負け数は将棋界歴代1位、勝ち数は歴代3位。現役を引退した17年には史上最高齢での勝利も挙げている。
熱心なキリスト教徒で休憩時に聖歌を歌って気分を高めるとか、座布団までくっつきそうな長いネクタイ、勝負メシはうな重、対戦相手の側から盤を眺める「ひふみんアイ」、超絶早口なマシンガントークなどでも知られていた。
まさに「記録と記憶に残る」稀代の名棋士が、新たなる”勲章”を得た。
◆加藤一二三(かとう・ひふみ)1940年(昭15)1月1日、福岡県嘉麻市生まれ。54年8月、当時の最年少となる14歳7カ月でプロデビュー。69年、第7期十段戦で初タイトル。82年、第40期名人戦で初の名人に。タイトル獲得は合計8期。77歳5カ月の17年6月に引退。通算1324勝1180敗。同年1月、77歳0カ月での史上最高齢勝利を記録した。引退後は仙台白百合女子大客員教授に任命されたほか、タレント活動も。日刊スポーツでは将棋コラム「ひふみんEYE」を担当した。今年1月22日、肺炎のため死去。