松本洋平文部科学相は24日の閣議後の記者会見で、地上波中継がなかった3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を巡り、主催者に対し「より多くの国民が大会を見ることができるよう、今後の配慮をお願いした」と明らかにした。スポーツ中継に関する有識者会議を、総務省と合同で設置することも発表した。
近年、動画配信事業者がスポーツ中継を拡充しており、今回のWBCは米大手ネットフリックスが日本での独占放送権を獲得。松本氏は「幅広く、スポーツを体験する機会や見る機会が確保されることは大変重要だ」と述べた。5月にも有識者会議を発足させ、独占配信で顕在化した課題や影響について論点を整理。関係者のヒアリングを重ねた上で今後の政策を検討する。
英国など海外では、関心の高いスポーツイベントを国民が幅広く視聴できるよう定めた「ユニバーサルアクセス権」を導入している国がある。スポーツを「公共財」と捉える考え方で、韓国にも同じような仕組みがあり、日本でも求める声が出ていた。
普及や振興の観点から地上波中継の必要性を訴える声は根強いが、有料配信事業者による高額な放送権料は主催者の貴重な収益源になる。どうバランスを取るか、模索していくことになる。
スポーツ庁幹部は、国が強化費を投じる五輪などは「活躍する姿を国民に見せてこそ。地上波中継を死守すべき」とする一方、WBCは「完全に民間の興行」として、有料配信の規制は容易ではないとの見方を示す。関係者によると、WBCで日本国内の独占放送権を獲得したネットフリックスの首脳は、日本での視聴動向について「民放のチャンネル数が少ない地方で、見られるようになったという声が多かった」とのメリットも訴えているという。
松本氏は、五輪でも同様の事態が懸念されるとして、国際オリンピック委員会(IOC)にも書簡を送ったと説明した。(共同)