イラン攻撃のあおりを受けるナフサなど石油製品の供給を巡り、政府見解と事業者の認識にギャップが深まっている。高市早苗首相は「年を越えて供給できる」と言うが、現場では品不足や価格高騰が明らかだ。 「35年間仕事する中で注文すらできないのは初めてだ」。接着剤が手に入らないと頭を抱えるのは、東京都北区で内装業を手がける石川信一さん(56)だ。接着剤はナフサ由来で、壁紙を貼る作業に欠かせない。イラン攻撃直後の3月上旬は注文して届くまで1日で済んだのに、現在は入手の見通しも立たない。
政府の量が足りていると言う根拠はこうだ。ナフサの場合、イラン攻撃前の国内供給は月約280万キロリットル。うち120万キロリットルを占めた中東産が激減し、中東以外からナフサとナフサ由来の化学製品の輸入を増やした。さらに従来はカウントしなかった製品在庫も加味し、280万キロリットル分を確保したというのだ。石油に関する説明も基本的に同じ。
日本総合研究所の栂野裕貴研究員は、政府と事業者の見方いずれにも誤りはないとした上で「需給のミスマッチが生じたのでは」と分析する。原材料の調達を懸念したメーカーが設備の稼働を抑え、品不足を心配した一部の顧客は先回りして商品購入に動いた可能性があるという。平時の購買行動を心がけることが大切だと指摘した。(共同)