働きアリやオスがおらず、女王アリだけの種の存在を岐阜県の元教諭らの研究チームが突き止め、30日までに科学誌カレントバイオロジーに公表した。こうした種の報告は世界初という。別種の女王アリを殺して巣を乗っ取り寄生し、自らの子どもを育てさせることも分かっており、独特な生態の解明を進めている。
チームが調べたのは、東海地方や四国に生息する「キノムラヤドリムネボソアリ」。体長は2・5~3ミリで、寿命は1年ほど。元高校教諭木野村恭一氏(73)が1978年、岐阜県の里山で発見した。アリの集団は通常、女王アリと働きアリ、交尾直後に死ぬオスで構成されるが、この種は女王アリしかいない可能性に気付いた。
成果を知った海外の研究者が論文発表するよう提案。2022年から森林総合研究所関西支所に所属する高校の教え子の研究者らと飼育実験し、オスと交尾をせずに「単為生殖」で卵を産み、女王だけが羽化することなどを裏付けた。発見から約半世紀後の今年2月、科学誌に掲載された。
チームによると、このアリは見た目がよく似た「ハヤシムネボソアリ」の巣に侵入。警戒する働きアリに触角を振ってなだめるような行動や、攻撃してくる個体を毒針で殺す様子が確認された。
大半は反撃されて死ぬが、相手の女王を殺して乗っ取りに成功すると、卵を産み働きアリに育てさせる。働きアリが死ぬと巣は絶えるが、成長したキノムラヤドリムネボソアリは、巣を出て新たな寄生先を探すという。(共同)