米南部で死刑執行が急増中だ。非営利団体「死刑情報センター」によると、1月から6月6日までに全米で執行された15件のうち、8件が同州で実施された。2025年は全米47件のうち19件が同州分だった。犯罪抑止効果があると主張するデサンティス知事が執行を推進している。
デサンティス氏は、24年大統領選の共和党候補指名を争った有力政治家。迅速な死刑執行が被害者遺族への義務だとの考えだ。市民団体「死刑の代替策を求めるフロリダ州民」のグレース・ハンナ事務局長は「誰が知事かによって執行ペースが左右されれば刑の公平性に深刻な疑問が生じる」と批判する。
今年4月30日夜、フロリダ州の刑務所で、50年前に13歳の少女を殺害した罪で収監されていた男(70)に薬物注射による死刑が執行された。遺族は「気持ちに区切りを付けることができた」とし、知事に謝意を示した。
米国の多くの州で裁判所が執行日の決定を主導する一方、フロリダ州では知事が大きな権限を持つ。連邦政府による死刑も少数あり、トランプ大統領(共和党)も2期目就任当日に死刑推進の大統領令を出した。
フロリダ州では新型コロナウイルス流行下の20~22年は執行数がゼロだった。23年に6件(全米で計24件)、24年は1件(同25件)といったん減ったが、25年は全米最多になった。
死刑執行が急増している一方、死刑判決は減少傾向にある。フロリダ州では12年に21件の死刑判決が出たが、24年は7件だった。死刑判決に慎重な世論がある中、デサンティス氏が執行を推進している現状について、ハンナ事務局長は「市民の感情と政治家の意向に隔たりがある」と疑問を呈した。(共同)