今年1月22日に肺炎のため86歳で亡くなった加藤一二三(かとう・ひふみ)九段の「お別れ会」が6日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた。この中で、加藤さんへの「名誉十段」が日本将棋連盟会長の清水市代女流七段から、長女の西口由紀さんに贈られた。
十段は、1954年(昭29)年8月に当時の最年少となる14歳7カ月でプロデビューした加藤さんが、69年に初めて獲得したタイトル。今の竜王戦の全身でもある。生前から何らかの形で「十段」と名の付く称号をと同連盟にお願いしていたという。
通算で8期獲得したタイトルのうち、十段は最多の3期(内訳は名人・王位・王将各1、十段3、棋王2)。今回の追贈について、日本将棋連盟は「将棋界の発展と普及に卓越した功績を残され、常に高みを目指す矜持を示されました。生前、加藤九段ご本人が十段への強い思いを抱いておられたことに深く敬意を表し、その志を顕彰するための特例」とした。喪主で長男の加藤順一さんは、「父も大変喜んでいると思います」と話した。
また同日、遺族から「一般社団法人 加藤一二三レガシー」を設立するとの発表もあった。加藤さんの棋譜、写真、作った詰め将棋の原稿などを一括管理して、文化遺産として残し、伝えることを目的としている。亡くなった後に構想が持ち上がった。「父は生前、将棋は芸術であると語っていました。その歩みと将棋という文化の豊かさを正確に伝え、将棋界に貢献したい」。代表理事でもある順一さんと説明する。東京・神保町で「ひとたな書店」など呼ばれている、「シェア型書店」でコーナーを設け、著書や棋譜などを展示する予定もあるという。
加藤さんが17年6月に引退した後、客員教授を務めていた仙台市の仙台白百合女子大でも11月21日に「お別れ会」が行われる。同大の学長は、次女の美紀さんが務めている。
◆加藤一二三(かとう・ひふみ)1940年(昭15)1月1日、福岡県嘉麻市生まれ。54年8月、当時の最年少となる14歳7カ月でプロデビュー。毎年昇段して18歳で八段となり、「神武以来(このかた)の天才」の異名を取る。69年、第7期十段戦で初タイトル。82年、第40期名人戦で初の名人獲得。タイトル獲得は合計8期。77歳5カ月の17年6月に引退。通算1324勝1180敗。引退後は仙台白百合女子大客員教授を務めたほか、タレント活動も。日刊スポーツの将棋コラム「ひふみんEYE」を担当した。今年1月22日、肺炎のため86歳で亡くなった。