今年1月22日に肺炎のため86歳で亡くなった将棋棋士、加藤一二三(かとう・ひふみ)九段の「お別れ会」が6日、東京・千駄ケ谷の「将棋会館」で行われた。藤井聡太6冠(23)が参列し、献花を行った。加藤さんの将棋界への貢献度などが評価され「名誉十段」が日本将棋連盟会長の清水市代女流七段から遺族に追贈された。また、遺族からは生前の資料などの知的財産を一括保管し、後世へと伝える一般社団法人「加藤一二三レガシー」の設立が発表された。
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加藤さんが2017年(平29)1月に現役最後となる1324勝を挙げた時の遺影を前に、藤井が深々と頭を下げた。都内で行われた今年1月27日の通夜、翌28日の告別式は、王将戦7番勝負の真っ最中だったため、参列できなかった。今回、忙しいタイトル戦の合間を縫って姿を見せた。
棋士、関係者によるお別れ会1部には弔辞を述べた森内俊之九段をはじめ、約120人が訪れた。この中で加藤さんに「名誉十段」が追贈された。十段は現在の竜王の前身。1969年(昭44)に初めて獲得したタイトルでもある。通算8期(名人・王位・王将各1、十段3、棋王2)獲得の中で最多だ。「将棋界の発展と普及に卓越した功績を残され、常に高みを目指す矜持(きょうじ)を示されました。生前、加藤九段ご本人が十段への強い思いを抱いておられたことに深く敬意を表し、その志を顕彰するための特例」と日本将棋連盟では説明する。喪主で長男の加藤順一さんも「父も大変喜んでいると思います」と語った。
また、発表された「レガシー」は加藤さんの生前の棋譜、写真、作った詰め将棋原稿などを一括管理して遺産として残し、伝えることを目的とする。亡くなった後に構想が持ち上がった。代表理事でもある順一さんは「父は生前、将棋は芸術であると語っていました。その歩みと将棋という文化の豊かさを正確に伝え、貢献したい」と遺志を継ぐ。
お別れ会は、加藤さんが17年6月に引退した後に客員教授を務め、次女美紀さんが現在学長でもある仙台市の仙台白百合女子大でも11月21日に行われる。【赤塚辰浩】
◆加藤一二三(かとう・ひふみ)1940年(昭15)1月1日、福岡県嘉麻市生まれ。54年8月、当時の最年少となる14歳7カ月でプロデビュー。毎年昇段して18歳で八段となり、「神武以来(このかた)の天才」の異名を取る。69年、第7期十段戦で初タイトル。82年、第40期名人戦で初の名人獲得。タイトル獲得は合計8期。77歳5カ月の17年6月に引退。通算1324勝1180敗。引退後は仙台白百合女子大客員教授を務めたほか、タレント活動も。日刊スポーツの将棋コラム「ひふみんEYE」を担当した。今年1月22日、肺炎のため86歳で亡くなった。