サッカーのW杯北中米3カ国大会が大盛況だ。大会前はチケット高騰や渡航制限による懐疑論もあったが、懸念を覆している。
「歴史上最も成功したイベントだ」。23日に一部メディアの取材に応じた国際サッカー連盟(FIFA)のインファンティノ会長は興奮を隠さなかった。FIFAは1次リーグの観客数が464万4549人だったと発表。既に過去最多だった1994年米国大会の358万7538人を超えた。25日には6試合が行われ、計42万6834人を集めて1日の最多記録も塗り替えた。
全試合の4分の3が行われる米国は、欧州や南米のようにサッカーが圧倒的な人気を誇るわけではない。だが、プロフットボールNFLのスタジアムを活用した大規模会場の座席は99%以上が埋まり、1試合平均で約6万5000人が集まる。今大会は参加チームが32から48に増え、観客増は想定されていたものの、スイスのシャカ主将は「正直こんなに多くの人が来るとは」と驚いた。
紛争や迫害で故郷を離れ、現地に定住した「ディアスポラ」と表現されるコミュニティーや移民の存在が大きく貢献している。イラン系住民が集まり、同国の首都をもじって「テヘランゼルス」と呼ばれる一角があるロサンゼルスでは、イラン戦2試合で14万人超を集めた。イスラム体制を批判する住民もいるが、チームには大声援を送り、イランのタレミ主将は「まるでホームのようだった」と感謝した。
苛烈な民族紛争を経験したボスニア・ヘルツェゴビナも本国の人口は約316万人だが、米での2試合では相手を圧倒するファンが会場を埋めた。バルバレス監督は「国の人口より多いのではないかと思うほど。祖国への郷愁があり、つながりを持ちたがっている」。観客席は、世界最大の移民国家である米国の姿を映し出す。
米国内の放送権を持つFOXスポーツによると、視聴者数も前回大会を大幅に上回り、12日に行われた米国の初戦は男子W杯の英語放送最多となる1800万人超が視聴。世界でも史上最多の約60億人が大会を視聴すると予測されている。