藤井聡太棋聖(竜王・名人・王位・棋王・王将=23)が7連覇を達成した。1日、静岡県沼津市「沼津御用邸東附属邸第1学問所」で行われた将棋のヒューリック杯第97期棋聖戦5番勝負第3局でタイトル戦初登場の服部慎一郎七段(26)を下し、3連勝で防衛した。5年前の棋聖戦でタイトル初防衛を果たした地で、故大山康晴15世名人が1962年(昭37)度の第1期から65年度の第7期と、74年度の第24期から77年度の第30期まで達成した7連覇に肩を並べた。
藤井が機敏に動いた。持ち駒の角を2筋に打ち込み、4筋に攻撃目標を定める。昼食休憩前、先制攻撃を仕掛けるとスピードを重視して攻める。「攻めがつながるかどうか、方針の立て方や判断の難しい将棋でした」。最後は得意の終盤力で一気に押し切った。
一昨年の山崎隆之九段、昨年の杉本和陽六段に続き、3年連続で3連勝のストレート防衛でのV7劇。2008年(平20)の第79期から17年の第88期まで10連覇した羽生善治九段の棋聖戦記録には及ばないが、偉大な大棋士の記録に肩を並べた。「意識はしていませんでした。連覇は1度でも切れると厳しい。並ぶことができたのは光栄です」と喜びをかみしめた。
今シリーズは好相性県での対局が続いた。6月4日の開幕局(千葉県木更津市)と、同19日の第2局(栃木県日光市)の両県はいずれも過去7戦7勝。第3局は、今年1月の王将戦開幕局(掛川市)で永瀬拓矢九段に敗れるまで8戦8勝の静岡県だった。
今年3月8、9日、1勝3敗のかど番で迎えた王将戦7番勝負第5局(栃木県大田原市)から復調への手応えをつかんだ。次の週の15日も、1勝2敗でかど番だった棋王戦5番勝負第4局(同県日光市)でも増田康宏八段に勝って追いついた。「どんな状況でも全力を尽くす」。そんな姿勢が「ダブル逆転防衛」へとつながった。
以来、年度をまたいでここまで負けなしの14連勝。復位を目指す王座戦の挑戦者決定トーナメントで連勝のほかは、すべてタイトル戦での勝ち星(内訳は王将戦3勝、棋王戦2勝、名人戦4勝、棋聖戦3勝)だ。
4日には、将棋界の8大タイトルを二分する同学年の伊藤匠叡王(王座=23)の挑戦を受ける王位戦7番勝負が開幕する。23年竜王戦以来の2日制7番勝負となる。「強さはこれまでのタイトル戦で感じています。よりよい将棋を指したい」。真価が問われる。【赤塚辰浩】