7連覇を目指す藤井聡太王位(竜王・名人・棋聖・棋王・王将=23)が同学年の伊藤匠2冠(叡王・王座=23)の挑戦を受ける将棋の伊藤園お~いお茶杯第67期王位戦7番勝負第1局2日目が5日、浜松市「浜松八幡宮楠倶楽部」で行われた。王位戦初登場の後手伊藤が138手で藤井を下して先勝した。激しい攻め合いの末に屈した藤井の公式戦の連勝は「14」でストップした。第2局は15、16日、神戸市「中の坊瑞苑」で行われる。
◇ ◇ ◇
藤井はグラスの水と、湯のみのお茶を飲み干した。最後まで可能性を求めたが、「見込みなし」とみて投了を告げた。
角換わりの出だしから激しい攻め合いになった。1日目の勝負どころ。伊藤の8筋からの継ぎ歩に対し、勝負手ぎみに踏み込む。「結果としていけない指し方になった。激しいですけど、1手足りない終盤戦になってしまったと感じています」と冷静に振り返った。
玉が薄い形のまま攻め合い、伊藤により激しい攻撃を食う。「判断が甘かったのが形勢を損ねる要因になってしまったと思います」。劣勢を意識して局面を複雑化するなどして粘るが、及ばなかった。
2023年(令5)竜王戦以来の伊藤との2日制7番勝負。この時は4連勝で防衛し、続く24年棋王戦5番勝負も3勝1持将棋(引き分け)と寄せつけなかった。同年叡王戦で2勝3敗で初めてタイトルを失うと、昨年の王座戦でも2勝3敗で6冠へと後退した。
頂上対決を重ねるごとに、伊藤の強さを感じている。3日の前日会見では、「最近の将棋は洗練されて、難しい局面でも可能性を追求して方針を見いだす力を感じる」と語っていた。開幕局で改めて痛感した。
7番勝負の初戦黒星は、今年1月の王将戦以来。この時も同じ静岡県の掛川市だった。挑戦者の永瀬拓矢九段に第4局を終えて1勝3敗のかど番に追い込まれながら、4勝3敗と逆転防衛を果たした。逆境をはね返した強さと経験値は持ち合わせている。
16世紀後半の戦国時代、当地の城主だった徳川家康は、武田信玄に現在の浜松市内にある三方ケ原の戦いで敗れた。それを教訓に戦国の世を統一した。
第2局に向けて藤井は、「より難しい局面を続けられるように集中して頑張れればと思います」と語った。7連覇へ巻き返しが急務となる。