14府県で災害関連死を含め306人が亡くなった2018年の西日本豪雨は6日、最初の大雨特別警報が出てから8年となった。岡山、広島両県の被災地では住民や自治体関係者らが献花し、祈りをささげた。花を手向けた住人は「未来の子どもたちにどう伝えていくかが課題だ」と話し、日ごろの備えや早期避難といった教訓を継承していく決意を新たにした。
堤防の決壊で大規模浸水が起きた岡山県倉敷市真備町地区では、市役所支所の献花台に伊東香織市長が白菊を供え「災害の記憶、教訓を後世に伝えることが私たちの大きな責任だ」と述べた。
毎年献花に訪れる会社員の武本智宏さん(49)は、同地区の自宅が浸水した。堤防が決壊した小田川に近いが、増水防止の工事が24年に完了してから水位がほとんど上がらなくなったという。「今年6月、工事が終わる前なら心配になるような強い雨が降ったが、安心して暮らせている。犠牲者の方々の死は無駄にならなかった」と悼んだ。
「犠牲を小さくできるよう平時から啓発や訓練に取り組む」。土石流が起きた広島市安芸区で献花した松井一実市長は、防災意識向上を誓った。
一輪の菊を手向け静かに頭を下げた植木富士子さん(53)は、18歳だった息子が土石流に巻き込まれ亡くなった。8年がたつ今も「気持ちに整理がつかない。道行く高校生を見るたび、思い出してしまう」と声を詰まらせた。記憶の風化を懸念し「息子と同じ思いをする人がいない世の中になってほしい」と願った。
「平成最悪の水害」とされる西日本豪雨は、河川の氾濫や浸水、土砂災害が広域で同時多発的に発生。犠牲者は広島県が153人、岡山県が95人、愛媛県は33人だった。
広島、岡山両県で計8人がいまだ行方不明で、広島では県警や消防が一斉捜索する予定だったが、悪天候で中止した。
夜は両県の被災地で追悼の灯がともった。倉敷市真備支所では「祈」の文字に並べた竹灯籠に火を付けた。広島県坂町の小屋浦地区では「ずっと忘れないからね」といった言葉や絵が書かれた紙灯籠約600個が辺りを照らした。7日は愛媛県で追悼行事が開かれる。(共同)