韓国で開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)第48回世界遺産委員会は26日、飛鳥時代の天皇の宮殿跡や高松塚古墳、石舞台古墳など19遺跡で構成する「飛鳥・藤原の宮都」(奈良県)を世界文化遺産に登録すると決めた。中国や朝鮮半島との緊密な交流を背景に、東アジアで中央集権体制が誕生・成立した過程を証明する遺産として高く評価した。国内の世界遺産は27件目。内訳は文化遺産が22、自然遺産が5となる。
飛鳥・藤原は、明日香村、橿原市、桜井市に点在する6世紀末から8世紀初頭までの遺跡群。主な遺跡は、大化の改新で「乙巳の変」の舞台となった飛鳥宮跡▽日本初の本格的都城・藤原京の中心だった藤原宮跡▽極彩色壁画「飛鳥美人」で知られる高松塚古墳▽朱雀など四神図や天文図が描かれたキトラ古墳▽蘇我馬子の墓との説がある石舞台古墳-など。
全てが国の特別史跡か史跡、陵墓に指定されている。歴史的風土の保全を図る「明日香法」で明日香村全域の開発行為が規制されるなど、手厚い保護も登録を後押しした。
2007年に推薦の前提となるユネスコ暫定リストに記載され、25年に政府が正式推薦。ユネスコ諮問機関は今年6月、構成資産の選択や保全状況は適切だとして登録を勧告していた。(共同)
◆飛鳥・藤原を巡る経過
【1930年代】藤原宮跡の発掘調査が始まる
【1972年】 高松塚古墳で極彩色壁画を発見。「古代史ブーム」が巻き起こる
【1980年】 歴史的風土を守る「明日香法」制定
【2006年11月】 世界文化遺産登録を目指し、奈良県などが文化庁に提案
【2007年1月】 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の暫定リストに記載
【2024年9月】 国の文化審議会が推薦候補に選定
【2025年1月】 政府がユネスコに推薦書を提出
【2026年6月】 ユネスコ諮問機関が登録を勧告
【2026年7月】 ユネスコ世界遺産委員会が登録決定
◆「飛鳥・藤原の宮都」(奈良県)を構成する19資産の名称は次の通り。
【明日香村】飛鳥宮跡、飛鳥京跡苑池、飛鳥水落遺跡、酒船石遺跡、飛鳥寺跡、橘寺跡、川原寺跡、檜隈寺跡、石舞台古墳、牽牛子塚古墳、天武・持統天皇陵古墳、中尾山古墳、キトラ古墳、高松塚古墳
【明日香村、橿原市】大官大寺跡
【橿原市】藤原宮跡、本薬師寺跡、菖蒲池古墳
【桜井市】山田寺跡
◆飛鳥・藤原の宮都 奈良県中部にある、天皇の宮殿跡を中心とした関連遺産群。聖徳太子らが活躍した6世紀末から平城京に遷都する8世紀初頭まで、古代日本の政治・文化の中心だった。中国や朝鮮半島からもたらされた仏教文化や建築技術、都城制など、東アジア交流の影響が色濃く残る。一部では戦前から発掘調査が行われ、1972年には高松塚古墳で「飛鳥美人」の極彩色壁画が見つかり「世紀の発見」と呼ばれた。