「飛鳥・藤原の宮都」の次の世界遺産候補を巡っては、江戸時代初期に築かれた名城「彦根城」(滋賀県)の名前が挙がっている。国の文化審議会は昨年、遺産価値の説明に課題が残るなどとして推薦候補に選ばなかった。地元自治体が2028年登録を目指し再提案したのを受け、文化審は今夏に改めて審議する方針だ。このほか、新たな候補入りを目指す動きも各地で出ている。
彦根城は1992年、将来の登録候補として国連教育科学文化機関(ユネスコ)の暫定リストに記載された。しかし93年に世界文化遺産に登録された「姫路城」(兵庫県)との違いをどう打ち出せるかが問われ、足踏みが続いてきた。
地元が作成した推薦書案は、江戸時代の大名統治を象徴する遺産だとアピール。彦根城単独での推薦を主張した。一方、ユネスコ諮問機関は24年、助言に当たる「事前評価」で、他の城と組み合わせた推薦も検討するよう求めており、文化審の判断が注目される。
暫定リストに残る候補はあと2件。このうち「武家の古都・鎌倉」(神奈川県)は13年に諮問機関から不登録の勧告を受け推薦を取り下げた。「平泉」(岩手県)は登録済み遺産の拡張申請を準備中だ。
新たに暫定リスト入りを目指しているのは「錦帯橋」(山口県)や「四国遍路」(徳島県、香川県、愛媛県、高知県)、「阿蘇」(熊本県)など。地元自治体は早期推薦を求め、文化庁に直接要望するなど動きも活発だ。ただ同庁幹部は「当面は彦根城の推薦可否の検討に注力する」としている。(共同)