80m煙突倒壊し事務所直撃 9人死亡の日本製紙が会見 10年前に補強も…熊本・八代

熊本地震で9人が死亡した日本製紙の瀬辺明社長は5日、熊本県八代市で記者会見し、地震発生とほぼ同時に八代工場の高さ80メートルの煙突が中央部から折れ、社員らがいた2階建ての事務所を直撃したと事故の状況を説明した。煙突は鉄筋コンクリート製で1970年に設置。2016年に起きた地震後に補強していたとも明らかにした。

被災後、記者会見で詳細を説明したのは初めて。煙突の耐震強度に問題がなかったか専門家を交えた調査委員会で検証する方針。補強前の1997年と2006年には旧建築基準法に基づく点検作業を実施していた。

9人は30~60代の男性。このうち6人が日本製紙の社員で、地震発生の際は事務所2階でデスクワークをして列になって座っていた。このほか協力会社の社員1人と空調メンテナンスのスタッフ2人が1階にいた。当時、400人超が勤務していた。救出作業は当初、手作業で行われ難航した。

煙突は重油を使うボイラーの蒸気を排出するためのもので、地震の際は稼働していなかった。日々、外観を目視してひびやさびをチェックしており、煙突倒壊を前提とした避難マニュアルはなかったと述べた。今回の事故を踏まえ、全国の工場で煙突を点検する。

瀬辺社長は「尊い命を失う残念な結果を極めて重く受け止めている。関係者の皆さまに深くおわび申し上げる」と謝罪した。

日本製紙は八代工場について「閉鎖は考えていない」と話した。業績への影響については「精査している」と述べるにとどめ、判明すれば速やかに報告すると説明した。(共同)