ベトナムでの戦場取材で知られる報道写真家の石川文洋(いしかわ・ぶんよう)さんが23日午前2時39分、悪性リンパ腫のため長野県茅野市の病院で死去した。88歳。那覇市出身。自宅は長野県諏訪市。家族葬を行う。
1965年から68年までベトナムに滞在し、米軍、南ベトナム政府軍に同行してベトナム戦争の最前線を撮影した。沖縄の米軍基地を飛び立ったB52爆撃機がベトナムを空爆し、多くの民間人が死傷し、住居が破壊された様子などを伝えた。
98年には、同国で撮影された写真が南部ホーチミンの戦争証跡博物館に寄贈され、常設展示されることになった。一連のベトナム報道により、日本ジャーナリスト会議(JCJ)の特別賞を受賞したほか、ベトナム政府から文化通信事業に関する功労賞を授与された。
故郷・沖縄の基地問題や沖縄戦体験者らの取材を続けたほか、カンボジアやアフガニスタンなどの戦禍を撮影。長崎県の雲仙・普賢岳噴火や東日本大震災、能登半島地震の現場を訪れ、写真とルポで被災者の様子などを伝えた。
80歳だった2018年、北海道・宗谷岬から沖縄・那覇まで徒歩による日本列島縦断に挑戦。約3500キロを踏破して翌19年、ゴールした。
著書は「戦場カメラマン」「ベトナム戦争と私」「フォト・ストーリー 沖縄の70年」など多数。(共同)