北海道・知床半島沖で2022年4月、乗客乗員計26人全員が死亡、行方不明となった観光船沈没事故で、乗客の男性(当時34=千葉県)のデジタルカメラから新たに写真10枚と動画10本が復元されたことが11日、分かった。このうち、事故前の揺れる船内や荒れた海が写った動画1本を、両親が代理人弁護士を通じて公開。父親は「息子の執念が生んだ奇跡」とのコメントを出した。
運輸安全委員会の調査報告書によると、船は22年4月23日午後1時26分以降、短時間で沈没した。動画は約3分間で、同日午前11時53分に撮影。白波が立った灰色の海や、船内の空気清浄器が大きく揺れる様子が写り、子どもの泣き声のような音声も記録されている。
男性の名前は優さん。24年8月に知床半島沿岸でカメラが見つかり、これまでに事故当日の海や優さんの姿を含む約700枚が復元されていた。弁護士によると、メーカーなどが今年、新たに写真や動画を復元。公開された動画以外には、滝などが写っているという。
優さんの父親は「今後の安全啓発にも生かされることを望んでいると思う。裁判で有効活用されることを願っている」としている。
事故を巡っては、釧路地裁が今年6月、業務上過失致死罪に問われた運航会社社長桂田精一被告(63)に禁錮5年の実刑判決を言い渡し、被告側は即日控訴した。乗客家族らが同社と桂田被告に損害賠償を求めた民事訴訟も進行中。(共同)