国立環境研究所(茨城県つくば市)などの研究チームは、高齢者1万1千人余りを約7年半にわたって追跡調査した結果、犬を飼育している人は、したことがない人に比べ、介護を要する認知症の発症リスクが48%低かったと発表した。公的な医療・介護費の削減効果も試算で示された。
チームによると、調査は2016年6月~23年12月、東京都に住む65~84歳の要介護認定を受けていない人を対象に実施。「犬を飼育している」「過去に飼育していた」「飼育経験がない」の3つに分類し、認知症発症との関連を調べた。
犬を過去に飼育した経験がある人も、ない人に比べて発症リスクが25%程度低い可能性を示すデータが得られたという。
発症リスクが低下する要因として、国環研環境疫学研究室の谷口優主任研究員は、犬の散歩により活動や人との交流が増え、規則的な生活習慣が維持できることを可能性として挙げる。癒やしといった精神的な効果も考えられるとした。
高齢者による犬の飼育率が16年の約8・6%から13・4%に上がったと仮定した場合、餌や動物病院にかかる費用など家計からの負担も含め、社会全体で4兆円以上(4年間)が追加で必要となり、関連産業への支出が拡大するとした。一方、公的な医療・介護費は同じ4年間で約5920億円削減できると試算した。
谷口氏は「人と動物の関係はまだ明らかになっていないことが多い。研究を進め、超高齢社会における新たな健康政策に応用できれば」と話した。研究成果をまとめた論文はスイスの国際学術誌に掲載された。(共同)