政府は、企業や団体に対し、病歴や指紋、位置情報といった機微な個人データを第三者に提供することについて、国への事前報告を義務付ける方向で調整に入った。大量のデータを保有する事業者を対象とし、病院や銀行など数百程度を見込む。情報の提供に加え、外部のクラウドやデータセンターへの保管も含める方針。外国の敵対勢力に悪用された場合に安全保障上の脅威となるため、国が提供の可否を審査する仕組みを検討する。複数の関係者が4日明らかにした。
来年の通常国会で経済安全保障推進法の改正案提出を目指す。有識者会議が、報告逃れなどに対する罰則導入を含めた制度設計の議論を10月中にも始める。データセンターやクラウド事業者についても規制の在り方を議題とする見通し。企業活動やデータ活用を過度に妨げないよう配慮する。
機微データは医療情報や位置情報、指紋や顔の生体認証情報、ゲノム(全遺伝情報)、金融取引情報など。個人情報保護法や不正競争防止法では安保上のリスクに対応できない可能性がある分野を想定している。
生成人工知能(AI)の普及に伴い、個人データは経済や安保を左右する戦略資源となった。大量のデータの中には、政府の意思決定に関わる要人や重要技術者らの情報が含まれる可能性がある。
例えば、位置情報は自宅や勤務先、定期的な訪問先など行動パターンが分かれば、監視対象となりやすい。金融取引で負債や信用情報を把握されると、脅迫材料に利用される恐れがある。
ゲノムについては、大量に集めて分析することで病気の耐性など日本人の集団としての特徴を把握される懸念があるという。(共同)