スウェーデンの王立科学アカデミーは7日、2026年のノーベル化学賞を硤合憲三(そあい・けんそう)東京理科大名誉教授とパリ・サクレー大名誉教授のアンリ・カガン氏(95)の計2人に授与すると発表した。日本からのノーベル賞受賞は3年連続。
授賞理由は「不斉有機合成における非線形効果と自己触媒作用の発見」。医薬品、香料、新素材などの製造に用いる反応で活用されている革新的な発見だとしている。
発表記者会見に電話で参加した硤合さんは「素晴らしいニュースを受けてとても興奮している」と喜びを語った。自身の成果について「非常に誇りに思う」と述べた。
スウェーデン王立科学アカデミーからの電話を受けた時は「家の近くに買い物に出ていた」という硤合さん。「生命をもっと理解するために、この分野の研究をさらに前へ進めなければならない」と強調した。
アミノ酸は互いに鏡に映したような関係で、2つの異なる形が存在する。だが生物では、これらのうち一方しか存在しない。どうして対称でなくなるのかは長年の謎だったが、2人はこの謎を解く手掛かりを発見した。
「硤合」は非常に珍しい苗字で、名字由来netによると広島県に約20人、埼玉県に約10人だという。
日本の化学賞の受賞は、昨年の北川進京都大特別教授に続き2年連続で10人目。他の分野も含め、個人では計31人になった。団体では24年に日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が平和賞を受賞している。
授賞式は12月10日にスウェーデンで開かれる。賞金は1200万スウェーデンクローナ(約1億9000万円)を2氏で均等に分ける。(共同)
◆硤合憲三(そあい・けんそう)1950年(昭25)5月3日、広島県生まれ。74年東京大理学部卒。79年東大大学院博士課程修了、理学博士。米ノースカロライナ大チャペルヒル校博士研究員、東京理科大講師、助教授などを経て91年同大教授、2017年同大名誉教授。12年紫綬褒章、23年瑞宝中綬章、25年日本学士院賞。76歳。
◆ノーベル化学賞授賞理由 互いに鏡に映したような関係にある2種類の分子のうち、一方だけを作る「不斉有機合成」で、「自己触媒作用」を利用した反応を開発した。硤合氏は一方だけが生じうる化学反応を設計したことを発表し、実際に2つの鏡像体のうち一方だけを生成する反応を実現した。生命の化学的な非対称性が生じる仕組みの理解を進め、医薬品製造のための化学反応の設計にも大きく貢献した。
▼ノーベル化学賞 ダイナマイトの発明で知られるアルフレド・ノーベルの遺言により1901年に始まった。「前年に人類に最も貢献し」「最も重要な化学の発見をした人」に贈るのが遺言だが、実際は数十年前の業績で選ばれることも多い。日本からは過去に福井謙一(81年)、白川英樹(2000年)、野依良治(01年)、田中耕一(02年)、下村脩(08年)、鈴木章、根岸英一(10年)、吉野彰(19年)、北川進(25年)の9氏が選ばれた。(共同)