ロシア連邦保安局(FSB)は13日、極東サハリン州で北海道新聞ユジノサハリンスク支局の男性記者をスパイ容疑で拘束したと発表した。ロシアの防衛能力に関する情報を収集したと主張し、記者を首都モスクワに移送し逮捕。モスクワの裁判所は2カ月の勾留を認めた。タス通信などが報じた。
茂木敏充外相は14日の衆院予算委員会で、ロシア側に情報提供や人道的配慮、公平公正な取り扱いを申し入れたと明らかにした。北海道新聞社は、詳細は確認中で記者の安全確保を最優先に対応するとコメントした。
スパイ罪は法定刑が懲役10~20年の重罪。FSBが主張する「スパイ容疑」は取材の範囲内だった可能性があるが、ロシア当局が一時拘束後の国外追放でなく、勾留を決めたことから、拘束が長期化する懸念がある。FSBは記者の拘束時や支局を捜索する際の映像も公開した。
ロシア外務省によると、記者は13日に拘束された。FSBは、記者が日本の情報機関の指示でクリール諸島(千島列島と北方領土)からウクライナへの「特別軍事作戦」に動員された兵士や志願兵の人数に関する情報を収集し、伝達しようとしていたと指摘した。
記者が身近な人に情報機関と接触していることを認めていたとも主張。「情報が流出すればロシアの防衛能力に実質的な損害をもたらす」として、阻止するために拘束を決めたと説明した。
ロシア外務省は13日「日本が、自国特派員を動員し、ロシアの安全保障を損ねる目的で情報収集のために利用しようとする試みは遺憾だ」とのコメントを発表した。
北海道新聞は現在、日本メディアで唯一、日本人記者をサハリンに常駐させ、ロシアが実効支配する北方領土を中心に極東地域の手厚い取材を積み重ねてきたことで知られる。(共同)