神奈川県警の保土ケ谷署員が、運転免許更新で回収した旧免許証を持ち出していた問題があり、警察庁が22日、調査状況などを明らかにした。旧免許証の不正な持ち出しは、30年ほど前から、複数の署の警備部門で行われていた可能性があると指摘。過激派や右翼といった警備対象者の顔写真収集などの目的で流用したとみている。同庁は「個人情報保護法に抵触する不適切な運用だ」としており、都道府県警に対する一斉調査を始めた。
警察庁の楠芳伸長官は同日の記者会見で「決してあってはならないことで重く受け止めている。早急に事実関係を確認し、再発防止の取り組みを進める」と述べた。
警察庁などによると、署員は今年8月に横浜市内で飲酒後、旧免許証が入ったリュックサックを神奈川県逗子市の駅で紛失。落とし物として届けを受けた県警が調べると、一般市民の旧免許証計31枚が見つかった。署員の前任地は港北署で、旧免許証は港北署が管轄する住民のものだった。
同署では、交通課が一般市民から回収した全ての旧免許証を警備課に引き渡していた。神奈川県警は、更新者の要望がない限り、旧免許証を返却していなかった。
県警が関係者から事情を聴いたところ、警備部門の複数のベテラン職員が「平成1桁(1989~97年)当時には既に行われていた」と説明した。先輩からの指導や、前任者からの引き継ぎがあったという。少なくとも県内5署であったとみられる。
問題を受け、顔写真など旧免許証に記載されていた個人情報は、神奈川県警本部などのデータベースから消去する。警察庁などは、県警本部の警備部や、警察庁警備局の関与の有無も調べる方針。
旧免許証の取り扱いについては、10を超える都道府県警では原則として更新者に返却していたものの、全国で統一的な対応はしていなかった。事態を受けて警察庁は今月9日、旧免許証に穴を開けた上で更新者に返却するよう、都道府県警に通達を出した。
個人情報保護法は、県警など地方公共団体も対象で、適切な手続きを経て捜査で利用する際といった一部の例外を除き、原則として目的外の個人情報の利用、提供を禁じている。(共同)