長射程ミサイル演習初投入 「敵基地」運用能力示す 自衛隊、周辺国反発恐れ

防衛省は25日、長崎県と佐賀県にまたがる大野原演習場で、自衛隊と米軍による共同統合演習「キーン・ソード」に展開中の陸上自衛隊の長射程ミサイル「25式地対艦誘導弾」を報道関係者に公開した。3月に熊本市の陸自健軍駐屯地に配備されて以降、大規模演習への投入は初めて。この日は強い雨が降る演習場で、隊員がミサイル発射までの動作を訓練した。

長射程ミサイルは、軍事活動を活発化させる中国などを念頭に、政府が「反撃能力」の名称で導入した敵基地攻撃能力の行使を担う。全国各地に配備が進む計画で、防衛省は、第1弾で配備した25式による今回の演習参加で運用能力を示す狙い。防衛政策の基本となってきた専守防衛を転換し、ミサイル配備を急ぐ日本の姿勢に周辺国が反発を強める恐れもある。

キーン・ソードでは陸海空や宇宙、サイバーなど幅広い分野で総合的な訓練を展開。25式は、このうち四国沖や九州南西の海域で各部隊が連携して敵艦艇との戦闘に当たる訓練の一部に参加している。

25日午前、大野原演習場では、陸自部隊が発射機を移動させ、射撃位置に到着。先行して展開していた隊員数人が周囲の警戒に当たる中、約1分半で南西方向に発射機を立ち上げ、攻撃態勢を整えた。ミサイルの装填や実射はしなかった。

25式地対艦誘導弾は国産で、地上に置いた車両型の発射機から撃ち出す構造だ。従来の「12式地対艦誘導弾」の能力向上型として、3月に開発を完了し、25式と命名された。約千キロの飛行が可能で、中国大陸沿岸部の一部が射程に入る。健軍が拠点の第5地対艦ミサイル連隊が運用を担っている。

キーン・ソードは今月19~29日の日程。自衛隊約4万5千人、米軍約1万2千人を動員。ほかにオーストラリアなど計7カ国も加わっている。(共同)